そこから始まる恋もある!【本編完結】
□追憶・あの頃の僕らへ【完】
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「ふーん、俺一応お前のために言ってやってるんだけど。男に告られたら嫌だろ? いくらおまえでも。
それともあの話聞いて態度変わんないってことは、告られんの待ってんのお前だったりする?」
「―――さぁね」
「恭弥はやめとけよ、真面目で優等生な早坂君の手にはおえねぇと思うけど?」
―――なんで、そんなことをお前に言われなきゃならない?
どくんっと鳴った心臓とは裏腹に、心が急速に冷えていくのを俺は感じていた。
恭弥のことは、俺の方が知ってるんだみたいなそんな自慢を、なんでお前に言われなきゃならない。
「――――――――――恭弥のこと好きだったのは、お前だろ。それで今更になって俺に取られたみたいで勝手に悔しくなってんのも、お前だろ?」
冷笑した俺に、森尾の顔にさっと赤味が差した。
馬鹿じゃないの、そんなの、ホントのこと言われたって、自分で言ってるようなもんじゃないか。
「………俺をお前と一緒にすんな」
「うん、俺もお前なんかと一緒にするつもりはないけどね」
「てめっ………!」
「―――――――なに」
俺の胸ぐらをつかんだのは森尾が先だったけど、殴ったのは俺が先だった。
ガチャンと激しい音がして、誰のだかわからない机が倒れて置き勉されてたらしい教科書が散らばる。
「――――なんだって、聞いてるんだけど?」
結果として、倒れ込んだまま俺を見上げた森尾の回答が得られることはなかった。
たまたま廊下を通りかかったらしい女子の悲鳴にそれ以上を中断してしまった間に、呼びに行ったらしい生徒に連れられて困惑顔の教師が駆けつけてきたからだ。