そこから始まる恋もある!【本編完結】
□そこから始まる恋もある!【完】
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それまで何とか維持されていた平穏は、もぞっと動いた布団の動きでぶった切られる。
それに対して俺は情けないくらい身体がびくっと跳ねた。そしたらその反動でケツが痛んだ。なんだこれ、マジで死にたい。
「―――――ん? なんだ、恭弥、早いねお前、もう起きるの?」
「………………………………………、早坂」
「え、まだ7時じゃん、寝ようよ。今日お前2限からだっつってなかった?」
寝よ寝よと無遠慮に俺の腰をひっつかんで(なんで裸なんだ俺の上半身とかは考えたくない、下がスースーしてんのもまたしかり、だ)、布団の中に引き戻そうとする適度に筋肉の乗った腕に、思考が固まりかける。
何故だ。
「………………………早坂?」
「なに、恭弥」
何、じゃねぇよ! と、そう言いたい。
にこにこにこにこ。いっそ不気味なほど幸せそうにぽやんとしてる早坂の笑顔に、言葉が詰まる。いつもの早坂と俺の関係を知ってるやつなら卒倒しそうな気持ち悪さだ。
え、違うだろ、早坂。
俺とおまえって、強いて言うなら悪友だろ、腐れ縁だろ。
高校から一緒で、なんでかその後大学もおんなじとこになっちゃって、下宿も近いみたいな腐れ縁。
……それだけだよな。どっちかっつうと、なんか微妙にムカつくみたいな、そんなあれじゃなかったですっけ。
気が付いたらつるんでるくせに、気が付いたらまた喧嘩してるみたいな、そんな感じじゃなかったっすか。
俺の記憶じゃ1か月前にした、ラーメンを食べるかうどんを食べるかで始まった大ゲンカの後、ずっと口きいてなかったはずなのに。