そこから始まる恋もある!【本編完結】

□これを恋だと言うのなら【完】
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世の中間違ってる、とそう思うのは断じて俺がモテないから僻んでるとか、そういうんじゃない。

……ないとそう思いたい。




「――――――あの、早坂くん、私ね……」

顔を真っ赤にした美少女の声の続きは校内放送に紛れて聞こえなかったが、そんなの聞こえなくたって分かるじゃねぇか。

――――なんだ、これ。

俺はただ律儀にも講義室に置き忘れたプリント取りに来ただけだっつーのに! こんなんなら後で早坂のパクりゃ良かった。


早坂と美少女しかいない講義室に入るに入れず、扉の前で固まる俺。いっそ見えなきゃいいのにと思いつつ、この教室はドアにもガラスがはめられてるから中がもろ見えだったりする。美少女が気付いてるかどうかは定かではないですけども。

なら立ち去れと冷静な俺が常識的に突っ込んでくるが、俺はそのタイミングを完璧に逃しきっていた。


――って、何やってんだ、あの変態!

ガラス越しのドアの向こうで、顔を追った美少女の肩をそっと抱きしめた変態が見えた。


何だそれ。

ガツンと衝撃を受けた気がしたのは、絶対気のせいだ。
心持よろめきそうになる身体を気力でひきしばって、俺はその場をそろっと離れた。プリントは、後で早坂のをふんだくろう。
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