そこから始まる恋もある!【本編完結】

□追憶・あの頃の僕らへ【完】
1ページ/6ページ

ふと触れ合おうとした手も、重なり合おうとした視線をも外して、なかったことにした。
弱かった、どうしようもなく。

けれどそれは、今ほど強い愛じゃなかったからなのかもしれない。





【追憶・あの頃の僕らへ】


恭弥の隣にいるのは、居心地がいい反面どうしようもなく辛いときがあった。
それは全くの俺の勝手で、恭弥には何の悪気もなかったのだろうけれど。大人ぶっていた俺もまだ子どもで、そして恭弥も子どもだった。

でも子どもだったから、俺たちは先を見ることがなくただ笑い合っていられたんだろう。



「お前もさぁ、実はホモなんじゃねぇの。そんな顔してるくせに、恭弥がいいんだ? 早坂なら女選び放題だろ、物好きだよな」


わざわざ放課後の教室で待ち伏せしてまでそんなこと言うお前の方がよっぽど物好きだろとは思ったものの、俺はへらっとそいつに笑いかけた。
今、俺たちの学校で騒ぎになってる噂・遠野恭弥はホモだったっていうそれの元凶。


「――――――森尾はそんなこと言うために、俺を待っててくれたの?」


どうせ俺の反論を期待してたんだろう。森尾は鼻白んで口をつぐんだ。
風紀委員会の無駄に長かった会議の所為で疲れてるし、早く帰りたいと思う。それに――どうしようもなく苛々する自分に気が付いてもいた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ