そこから始まる恋もある!【本編完結】
□そこから始まる恋もある!【完】
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――――――ケツが、痛い。それも尋常じゃなく。
爽やかな秋晴れの朝、俺・遠野恭弥は、恐らくに人生最悪の目覚めを現在進行形で体験してしまっている。
「………………なんでだ」
我ながら絶望的な声が出た。なんでだ。その一言に尽きる。なぜこうなった。
見間違いだったらよかったなぁなんて、あはは、なんて現実逃避しながら、視線を横にずらす。
「――――――!」
何でよりによってお前だよ!
わめきたいのを無理やり押し込んで再認する。………嘘だったらよかったのに。つまり嘘じゃなかったわけだけれども。
嘘じゃないってことは現実なわけで、現実ってことは……。
駄目だ、ちょっと落ち着こう。
嫌なところに行きつきかける思考を無理やり方向転換させる。
そうだ、ちょっと落ち着こう。そうだ俺、落ち着け、落ち着くんだ、俺。
状況をちょっと整理しよう。
――そう、本気で何故だかわからないのだが。大事なことなので何度でもいう。本気で何でなのか分かんないんだけれども!
現実、ここは俺の安アパートで、朝起きた段階で俺は何故か狭い俺のベットで暑苦しくも男と抱き合って眠っていたわけで。
その男の無駄に整った顔を視認して、ぎゃあっと軽く叫んで飛び起きて、そして最大になんでだかわかりたくないのだけれど、その瞬間下半身にというかケツに激痛が走って。
……そして、ベットに座ったままで悶絶しながらも、頭を何とか冷静な方向にもっていかせようとして、いけきれていないまま今に至るわけだ。
……至ってるのだが。