灰紫の語り部


□年明け
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「…んぅ……んーーーっ…ぷはっ、はぁ…はぁ…」

「あけましておめでとう、紫苑」

「はぁ…はっ…ネズミ…」

「うん?」

「あ…あけまして…おめでと…」

「だいじょうぶか?ちょっと長くキスしすぎたかな」

「だ、だいじょうぶ」

「それはよかった」

「ネズミ」

「どうした?」

「まさかほんとうに…キスするなんて」

「してほしかったんだろ?」

「な…っ」

「顔に書いてあったけど」

「えっ!?」

「……ぷっ」

「?」

「あははははっ」

「ちょ、ちょっとネズミ…」

「あははっ、あー、おかしい」

「そんなにおかしいかな」

「おかしい。あんたといると、腹筋がどうにかなっちまいそうだ。くくっ…腹がよじれる…っ」

「……」

「そうむくれんなよ。あんたといると楽しいって言ってんの」

「え…?」

「新年早々、こんなに笑えるとは…あんたってほんとうに神だな、笑いの」

「褒めてるの?貶してるの?」

「さぁ?どっちだと思う?」

「……貶してる」

「じゃ、答え合わせのキスといきますか」

「え、ちょ………んっ」









──こんな感じで、ぼくはネズミとキスしながら年を跨ぎましたとさ。



──おいおい、年跨いでからの方が濃い時間だっただろ?



──うっ……そ、それはまた別のお話ってことで!



──はいはい。まったく、陛下はいつまで経ってもウブだな。まっ、何はともあれ、今年もよろしく。



──こちらこそ、よろしくね。







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