道化ノ詩


□Lycoris
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紅く燃える業(カルマ)

遥か記憶の底

枯れた華を濡らす

一粒の光と影



愛に溺れて

愛に傷付いて

愛を憎んだ

揺れ惑う一片の華



追想の夢幻(ユメ)

哀しき叙情詩(アリア)

鏡が映す貴女の真実

凛とした姿も

情熱の真紅も

堕ちてゆく祷(イノリ)も

風に踊り

逆様の天(ソラ)へと消える



薔薇より繊細で

夕焼けより強く

何時か見た貴女が

滲んでは儚く散る



もし望むなら

僕は全てを

貴女に差し出そう

それが魂魄(タマシイ)だとしても



枯れ果てた華弁(ハナビラ)で尚

喪失(ナク)したもの求めて

ゆらゆら叫ぶ

貴女の折れそうな背骨

生命(イノチ)の雨よ

降り注いでくれ



閉ざした心

根付いた悲しみ

僕は両手で

想い出(ツチ)ごと貴女を摘み取る



漆黒の羽根

純白の闇

手にした幻想は誰の面影?

終わったはずの愛は

今静かに芽吹いて

貴女の華弁(ハナビラ)を

また紅く染める

神の悪戯とも知らず





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