道化ノ詩


□白雪の蝶
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人生なんてつまんない

明日が来なければ良い

そんなふうに僕は

とにかく卑屈だった



どうして今まで

気付かなかったんだろう

取り戻せない時間が

あるってこと



こんなことならいっそ

気付かないまま…



いつの間にこんなに

大切になってた?

本音を口に出すなんて

絶対しないって

決めてたのになぁ



掴めるはずの蝶は

ひらり僕の手を

すり抜けて消えた



知っていたことを

忘れたなら

それはきっと

知らなかったことに

なるんだろう



知っていたつもりだった

言葉が、全てを

奪うこともあるんだと

涙が雪に紛れて散った



人の胸を打つ

どんな素晴らしい歌も

多分、全て嘘なんだろう

「独りじゃない」とか

「夢は叶う」とか

それはその人が

哀しかったり

苦しかったりして

自分に言い聞かせて

いるのだと思う



広い世界のどこかには

独りで生きる少年がいる

限りある命の中では

叶えられない夢もある

だけど、それでも

歌い続けるのは

それを受け入れたら

淋しすぎるから

そんなに僕らは

強くないから



幸せな未来を信じて

胸を張るより

仕方ないさと

うなだれる方が

よっぽど楽だけれど

同じ未来が来るのなら

せめて心の中だけは

光を灯していたいな



笑顔も涙もきっと

いくつもの犠牲の上に

咲くものだから

全部抱き締めていたい

それがたとえ

僕の胸を貫こうとも



全部、抱き締めていたい

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