月まで届けコンツェルト

□2
1ページ/5ページ

高台の森のゲートは、私の家から見て、丁度島の反対側に当たる。いつもなら賑かな市場や港だか、流石にこんな時間には誰も居ない様だ。

「やっぱ夜は寒いな…」

かなり高台に近付いて来たせいか、潮風が吹き上げてくる。足を止めて振り返ると、家々や船がかなり小さく見えた。

大陸の位置関係によって、潮風が止むことがない町
『ウインディ・ポート』
一体誰がこんな安直な名前を付けたんだろう?
そんな、今まで考えた事もなかったような些細な疑問を、我ながら可笑しく思い苦笑した。そろそろ行こうかと歩き出した瞬間

「…ッ!?」

僅かだが、今確かに殺気を感じた。咄嗟に木陰に体を潜める。数は…5人か。

「おや、お嬢さん?そんな所にしゃがみこんで何をしているんです?」

…ッ!バレてたか
悪態を付いてからソイツの前に行く。

「いえ、殺気を感じたので…ついさっき。それで…あなた方は?」

「フフッ!下手なご冗談を…。私達は七人の巫女の生まれ代わりを探しているのですよ」

下手とかヒド!…つか怪しい

「こんな時間に?冒険ごっこですか?宿でしたら、坂を降りてすぐ近くにありますよ。それでは失礼します。」

こういう怪しいのはスルーするに限る。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ