デュラララ

□第八話
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――どうしてこんな事になったんだろう。
帝人はまだ慣れない道程を歩きながら溜息を吐いた。
それから彼の後ろを付いて来る人物達について考えを巡らせる。
いや、彼は自分が彼らに付き纏われる理由を凡そ理解していた。

世間で噂の都市伝説が彼のような平凡な高校生と接触した理由は明白だ。
今彼の家に居るであろう、一人の少女の所為である。
その少女が昨夜黒バイクに追われていると帝人と正面衝突をして、助けを求められた彼は訳も分からないまま彼女を自分の家まで連れてきた。

自身でも大胆な行動に目を見張るが、おそらくその時彼は、彼女が非日常への切符であると感じたのかもしれない。
それは実際に現実となって、彼のもとへ非日常の象徴が現れる。
尤も今は、この状況から逃避してしまいたいとさえ思っているのだが。

二人の青年は、恐らく自分がダラーズの創始者だということに気付いている。
誰かに教えた覚えはないが、折原臨也は正臣が絶対に関わるなとまで言った人物だ、可能性はある。

一方彼の隣で人懐っこい笑みを振りまく人物には、帝人はどちらかというと好印象を抱いていた。
正臣から、
「折原臨也とよく一緒に居る夜霧ミネって人が居るんだけど、あの人はまあ変わってはいるけど良い人だ。俺も昔世話になって、その時から付き合いがあるんだけどさ。
ああでも、だからといって自分から関わろうとはするなよ。
あの人自身は基本無害だけど、あの人の周りにはさっき言ったような奴等が居るんだからな」
と事前に聞いていたのもあるが、実際に会ってみても昨日の振る舞いなどから帝人が好感を持つのも無理はない人物だった。

「そういえば、セルティって帝人くんに何の用なの?」
学校を出てから続く沈黙がミネによって引き裂かれた。

帝人は耳慣れない名前に首無しライダーの名前だろうかと考えて、返答が気にかかった。
だが前を歩く帝人はPDAを用いて発されるその言葉が当然分からない。

「俺達も色々訳ありでね」
ミネが述べる。誰も何も言っていないので、恐らくは首無しライダーの質問に答えたのだろう。
そしてその返答から、帝人は先程PDAに打たれたであろう文字を想像する。

ミネはそこで話題を通りがかったケーキ屋に移す。
新しく開店した、評判が良いなどと恐らく臨也への言葉を帝人が受け流して聞いていると、どうやら臨也と後で行こうという話になったようだ。
帝人はお気楽な彼に、この状況からか羨望と嫉妬を抱いたのだった。
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