長編まとめ

□人間退治
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稟と共に、学校へ向かう。
人は居ない。

「別に家に居ても良かったんだぞ?」
隣で歩いている稟にそう言う。
「家に一人で居るのも居心地悪いし、夏目が妖に襲われでもしたら大変だし!
――迷惑だった?」

稟のその問いに、おれは目を丸くして答えた。
「え?いや、全然。
でも、おれが終わるまでずっと待ってるのか?」
「そのつもりだけど…やっぱりダメ、だよね」
「いやおれは構わないが…暇だろ?」
「んー…暇なら暇で、寝てればいいし!」

彼女はそう言うが、本当に良いのだろうか?
それに、稟の方こそ妖に襲われるかもしれない。
それならニャンコ先生の居る家に戻った方が安全だ。
…まだ酔い潰れて寝ているが。

そう思い、口を開き――
「夏目、はよー!」
遠くから名を呼ばれ、結局おれは稟に何も言えなかった。

「おはよ、夏目」
「あぁ。おはよう、二人とも」
おれを呼び止めた人物は、西村と北本。
その後、四人で学校へと向かう。

丁度門を抜けたところで、
「じゃあ、あの木の下で待ってるね。
――また後で」
と稟が遠くにある木を指しなが言った。
おれは分かったと言う代わりに、笑みで返す。

「?どうした、夏目?」
「あっちに可愛い子でも居たかー?」
「え?いや、何でもないよ」



―――…
「夏目!」
「……ん」
教室で机に突っ伏して寝ていたおれは、名前を呼ばれ、目を覚ました。

「何か?」
「お客さんだ〜…あれ?
……いない」
西村が、今お前のこと聞かれてたんだけどなぁと呟く。
おれの事を尋ねてきた人が居たのか。

「知ってる人?」
「ん〜。あまりみない顔だったな…」
おれなんかに用でもあったのか?

「悪かったな、起こして」
「いや」
「しかしよく寝てるな、夜眠れないのか?
何か悩みでも?」
「――いや」
心配してくれる西村の有り難さを噛み締め、そして嘘を吐くことを心の中で謝りながら、おれは西村の質問に答えた。

悩みはある。
けれど。
たぶん他人にはわかってもらえないことだ…。

学校の授業が全て終わり、おれは稟と二人で家へと帰る。
家へ着くと、ニャンコ先生と塔子さんが、暖かく出迎えてくれた。
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