短編・企画・過去拍手

□過去拍手其の伍
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「総悟ォォォオオオオ!!!」

またか。
土方の怒鳴り声を聞いた女の子は、自分の部屋で寝転がり、棒アイスを食べながら、そんな事を思ったのだった。

「土方さん、証拠も無いのに人を疑うのは良くないですぜ」
「証拠もなにも、こんな悪戯をするのはお前以外に居ねェだろーが!!!」

どんな悪戯をしたんだろうなぁ…。
二人の言い合いを聞いた女の子は、アイスを食べ終え、棒だけをしゃぶりながら、そんな事を思ったのだった。

「なんで俺なんでィ?
ほら、山崎の手違いかも知れないでしょう?」
「えー!?隊長、何で俺なんですか!?」
「山崎ィ、上等だ。
今すぐここで腹切りやがれ!」
「な!?違いますから!
俺なにもしてませんから!!!」

ザキも大変だねぇ…。
山崎の悲痛な叫びを聞いた女の子は、棒をゴミ箱に投げ捨てながら、そんな事を思ったのだった。

「あ、そうだ。そいつの仕業じゃねェんですかィ?
この前、土方さんの悪口言ってるの聞いたし」
「おい!
お前の仕業なのか?」
「え?いや、いきなり振られても」

面倒な事に巻き込まれちゃったなぁ…。
っていうか、総悟。
それは言わないって約束したじゃん。
沖田の裏切りの言葉を聞いた女の子は、大きな溜息を吐きながら、そんな事を思ったのだった。

「俺のマヨにタバスコを入れたのは、お前の仕業か?」
「総悟、またそんな事やったの?
針とかじゃなくてタバスコだっていうのは、まだ可愛いけどね」
「あ、それ次やってみよ」
「やっぱりお前の仕業か、総悟ォ」

「ちっ、こうなったら…」
「何やってんだ総悟!?
まさかそいつを囮に!?」
「いくら隊長でも、こんな事は許されませんよ!!!」

あ、ザキまだ居たんだ。
二人の焦った声を聞いた女の子は、沖田に刀の刃を向けられながら、そんな事を思ったのだった。

「さぁ土方さん。
今すぐ腹斬らねェとコイツがどうなるか、分かってますよねィ?」
「テメェ…」
「隊長、いい加減にして下さいよ!」

「ほら、総悟。
アイスあげるから止めなさい」
「マジでか。分かりやした」
「気が変わるの早っ!」
「ってか俺アイス以下!?」

「はぁ…もう悪戯すんじゃねーぞ、総悟」
「あ、折れた」
「おい、山崎。
マヨ買ってこい」
「え、なんで俺が!?」
「お前が行けば全て円く収まるんだよ」
「それって結局俺がマイナスになるだけじゃないですか!
……分かりましたよ、行けばいいんでしょ行けば!!!」

「じゃ、アイス」
「その前に、一つ聞きたい事があるんだけどいい?」
「なんですかィ?」

「あの刀、よく出来た玩具だよね?」
「あれを見破るたァ、流石ですねィ」
「…なんで、わざわざ玩具の刀にしたの?」
「なんでって…万が一にも、億が一にも、アンタに傷が付くのは嫌なんでィ」

やっぱり君は、可愛い性格してるよね。
沖田の可愛い台詞を聞いた女の子は、目の前でアイスを舐めている青年を見て、そんな事を思ったのだった。

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