短編・企画・過去拍手
□過去拍手其の四
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「…何してんだぁ?お前は……」
「スクの髪を結んでんの」
あたしは今、スクことスクアーロの髪を二つ結びにしている。
一つ目はスクも黙っていたけど、二つ目に取り掛かると今にもブチ切れそうな表情だ。
「いい加減止めねぇと、ぶった切るぞぉ…」
「あたしにそんな事したらどうなるか、分かってんの?」
「う゛っ…」
あたしは、ヴァリアーのボスXANXUSのお墨付きだ。
もしスクがあたしに傷を付けようものなら、彼はXANXUSの手によって灰にされてしまうだろう。
まぁそれを差し引いても、実力でスクに勝つ自信はあるのだが。
「だからって、何で俺の髪で遊んでんだぁ?」
「暇だったから」
「あのなぁ…だったら他の奴に遊んでもらえばいいだろうがぁ!俺はお前ほど暇じゃねぇんだ!」
「……だって、そこに丁度いい獲物が居たんだもん」
「獲物って…」
スクはそこで話を止めて、一つ大きな溜息を吐く。
諦めたのか、抵抗はしなくなった。
「よし、完成っ!
ほらスク、可愛くなったよ!」
「なっ…」
スクが黙って鏡に映っている自分の姿を睨んでいると、タイミング良く(悪く?)ベルとマーモンが部屋に入ってきた。
「ルリ、何してんの?」
「またスクアーロの髪で遊んでいるのかい?」
「てめぇら、勝手に人の部屋に入ってくるんじゃねぇ!!!」
スクが動く度に、高い位置に結ってある髪が動く。
「うしし、ツインテールにしたんだ。
案外似合ってんじゃん」
「ベルぅ!人をからかってんじゃねぇ!」
「別に王子はホントの事言っただけだし。
なぁ、ルリ?」
「うん。そこらの女の子より可愛い、いや綺麗だと思うよ?」
「んな事言われても、何も嬉しくねぇぞぉ……」
「…スクアーロも大変だね。
少し同情するよ」
マーモンが誰にも聞こえない声で呟く。
マーモンだけが、スクアーロを哀れみの表情で眺めていた。