夏目友人帳

□第二話 主人公サイド
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――…ここは、どこだろう?
…暖かい。
ゆっくりと目を開くと、見なれない天井が映った。

「あ、起きたのか」
声がした方を見ると、夏目が私を見下ろしている。
あぁ、ここは夏目の部屋か。

「あれ?なんで…」
「あの後、お前は倒れおったんだ。
それで、夏目がここまで連れてきたのだ」
説明してくれたニャンコ先生の方を見てから体を起こし、夏目に向き直る。

「ありがとう」
「いや…それより、訊きたい事があるんだ」
やはり、妖かどうかか。
夏目は少し躊躇った後、口を開いた。

「え、と…人、なのか?それとも……」
「分からない」
私の答えに、夏目は呆気にとられた。
ニャンコ先生はというと、ずっと鋭い視線をこちらに向けている。

「この期に及んで白を切るつもりか!
ええい、夏目。こんな奴私が食って…」
「止めろ、先生。
…それで、分からないって?」
夏目の問いに、私は正直に答える。
…そういえば、敬語じゃなくなってるな。

「分からないの、私にも。
そうなのか違うのか、分からない。
…でも、人間だったんだよ?」
そう言って夏目を見ると、彼もこちらを見返してくる。

「分かる所まででいい。
詳しく聞かせてくれないか?」
ニャンコ先生が、「また夏目は〜」と言っているが、私は構わず彼に話し始めた。

「私は学校から帰る途中で、俯いている顔を上げたら、知らない所…さっきの道に居たの」
「それでおれに遇って、今に至るって訳か。
…って、ちょっと待て。
顔を上げたら知らない所に、って……」
夏目の質問に、私は俯いてしまう。

私も、分からないんだ。
なぜここに居るのか、どうしてこうなったのか。
私が黙っていると、夏目は察してくれたらしく、それ以上は訊かなかった。

「おい、今は人の姿なんだろう?
妖の姿には戻らんのか?」
今まで黙っていたニャンコ先生が、突然口を開いた。

「でも…できるのか?」
夏目の問いに、私は「やってみる」と言うと、目を瞑る。
勿論誰に教わった訳でもないが、私は意識を集中させた。
すると…

ボンッ!

白い煙に包まれたかと思うと、私の姿は学生服から着物へと変わっていた。
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