夏目友人帳

□プロローグ
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学校からの帰り。
真っ直ぐに続く道を、とぼとぼと歩く。

ハァ…と、安堵半分、疲れ半分のため息をついた。
やっと学校から帰れるのは嬉しいが、明日もまた行かなければならないと思うと、少し辛い。
…先の事を考えても仕方ないな。早く帰って、夏目友人帳を読もう。

夏目友人帳≠ニは、少女漫画のことだ。
漫画等にはあまり興味のない私だが、この作品は特別だ。

ふと最近、考える事がある。私にも来るだろうか?と
今の夏目のような、幸せな日々が。

…そんな夢の様な事、ある訳無い。
そう思いながら、俯いていた顔を上げた時だった。
「…え?」
周りが、私の全く知らない場所だというのに気付いたのは。

…なぜ?私は真っ直ぐ歩いていただけなのに。
家を過ぎていたとしても、その先は行き止まりだった筈だ。
それに、私の住む近くは、こんな森ばかりある所ではない。

暫くそのままでいると、頭が覚めてきたのか、自分の状況が分かってきた。
…これはたぶん、トリップやワープと言ったものだろう。

だとすれば、どうすれば良い?帰る道も、方法も分からない。
…帰りたくなど無いのだが、こんな所でのたれ死ぬのも御免だ。

私が頭を抱えていると、
「あの、」
後ろから、声を掛けられた気がした。

良かった、人が居たのか。
もしかしたら、一日くらい泊めて貰えるかもしれない。

そう思って振り向くと、
「え…?」
そこには、私のよく知っている人物が居た―――
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