デュラララ

□第九話
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「遅いなあ二人とも。何話てんのかな」
おんぼろのアパートの前で、待ちくたびれた俺がそう呟いた。
「自分が本物の℃無しライダーだってことだろ。
態々俺に聞かせないようにしなくても、あいつが何かくらいミネに聞いていなくたって分かっているっていうのにさ」

俺がセルティと出会ったのは、まだ俺達が高校生だった頃だ。
臨也を介して知り合った新羅の家に遊びに行く事になって(新羅は少し渋っていたが臨也が無理を通した)、同級生が都市伝説と暮らしているという事実に驚いたのは言うまでもない。
勿論その時は彼女が俗に首無しライダーと呼ばれるもので、名前はセルティだということしか知らず、本当に首がないのかまでは教えてくれなかったし、俺も強いて聞こうとはしなかった。

その後は臨也や静雄が怪我をした時に――喧嘩はしてもそこまですることは滅多にないが――新羅の家へ行った時に交流するようになって、彼女がゲーム好きだということが分かると、そこからは急速に距離が縮まった。
今でも彼の家へゲームをしに行ったり、ネトゲで一緒に強敵と戦ったりする仲である。

彼女に真実を聞かされたのが一人で遊びに行ったときのことだ。
俺が新羅に招かれて部屋に入ると、彼女はヘルメットを被るのを忘れてゲームの準備をしていた。
その時彼女が少し天然らしいということ、彼女が首無しの騎士であること、そして今に至るまでの経緯を知った。

「へえ、すごい。漫画やゲームみたい」
と俺が語ると、彼女は少し呆れた様子で『もう少し別の感想はないのか』と打ち込む。
新羅は「受け入れてもらって良かったじゃないか」と彼女にとっては要らない事を言って、恥ずかしげな彼女の様子を見ると、セルティは渡さないだのなんだのと呟いていた。

「俺は臨也に首無しライダーは本当に首が無いのかって聞かれたから、『うん』って答えただけなんだけど」
昔のことを振り返る。そう聞かれたのも高校生になって何年か経った頃だろうか。

「俺の疑念を確信に変えるにはそれだけで十分だよ。
絶対的な確信さえあれば、あとは情報を集めて繋ぎ合わせるだけだ。君に聞くまでもない」

臨也と話している内に帝人くんとセルティが戻ってきた。
話は纏まったようで、彼が先に部屋に戻ってセルティの目当ての人物に説明をするらしい。
――また待つのか。
俺が立ち疲れて隣のシューターという名の黒バイクに腰を下ろし彼の後部を撫でると、彼は嬉しそうに一啼きした。

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