デュラララ

□第八話
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今日も今日とて池袋だ。
そして今回も目当ては帝人くん。
――いや、ダラーズの創始者と言おうか。
何といったって今日は、それを突き詰めるために来たのだから。

「それでも流石に学校前で出待ちはないわ」
「何も門の目の前に突っ立っている訳じゃないんだから、そうは目立たないよ」

どうやって調べたのか授業の終わる時間を彼は手に入れていたようで、俺達が目的地に着いてまもなく、一番乗りの生徒が校門をくぐる。
その後に続いてぞろぞろと生徒が溢れ出すのを眺めていると、俺達以外に待ち伏せしている人間が居るのに気付いた。
そのカップルらしい二人組みをちらりと見て、また人波に目を移す。

「あ、帝人くん」
昨日の女の子と並んで出てきた彼を見付けると、俺は臨也の後に付いて流れに逆らう。
するとあの二人組みも彼が目当てだったようで、彼に近寄ると、男の方が彼の襟首を掴む。
携帯だのという言葉が出てきて、よくよく女の方を見てみると彼女は臨也に携帯を壊された苛めっ子だった。

「どうするの?」
「どうするも何も――」
俺が尋ねると、臨也はそう言いながら左方を見遣る。

「…セルティ?」
全身真っ黒のライダーとバイクは、そのまま男の元へ躊躇いもなく突っ込み、バイクの前輪を上げ突き飛ばす。

何で彼女が、と考えている内に隣に居た筈の臨也が消えていて、いつのまにやら轢かれて気を失っている男の上で跳ねていた。
そのまま彼は女に向き直って暴言を吐くと、女は一連の異様な光景に慄いたのか彼氏を置いて走り去ってしまった。
臨也はやっと地面に足を着けると、帝人くんに経緯を説明する。

俺は横にバイクを停めたセルティに声をかける。
「セルティ、どうしたの? 態々喧嘩を止めに来たっていうんじゃないんでしょ?」
「それは俺も知りたいなあ」
臨也がくるりと振り返って割って入る。
彼女は少し肩を竦めて見せてから、帝人くんを見つめる。

そこで帝人くんは杏里ちゃんの存在に気付いたようで、呆けている彼女に半ば一方的に別れを告げると、俺達を彼の家へ招待した。
こんな所で好奇の目を向けられるような状況は、できれば回避したいもんね。

「じゃあ、僕の家はこっちですから、…後ろに付いて来て下さい」
そう言って若干肩を落としながら歩く帝人くんを見て彼を励ましたくなったが、自分も彼の気を揉ませている一人かと思い至って、心の中だけに留めておいた。
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