デュラララ

□第五話
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激昂する二人を見ながら、ミネは成り行きに身を任せていた。
このままでは、自分が臨也とグルだとばれるのも時間の問題だろう。

自分にもあの怒りのありったけをぶちまけられるのか。
そう思うと自然と溜息が出そうになる。

まあ、騙した≠ナ終わる程度のことしかしていないわけではないし、今のうちに怒りを爆発させた方が、後々もやもやした気持ちも残らずに済むかもね。俺だって恨まれたくはないし。
この子達も運がなかったなあ。

でも二人とも、どうして臨也がこんなことしてるのか興味ないのかな。
俺なら怒りよりも先に疑問に思うけど。
わざわざこんなことまでする理由が、単に茶化しに来ただけなんて、余程の暇人で性悪じゃないと考えられないし。
ま、臨也君は、趣味の一環なんていう、ある意味一番性質の悪い理由でここに来たのだけど。

ミネを放って話は進む。
意外にも、二人の女は彼のことなど気にも留めなかった。
あるいは、余りに無関心を貫く彼の姿を疑問に思う余裕もなかったのか。
彼女達は臨也の口から滔々と流れ出る言葉に、冷淡な微笑に、彼という存在の異質性そのものに、徐々に脳内が蝕まれていく。

臨也が一通り、彼女達への失望感を内在した自身の観念をぶちまけると、彼は再び元の柔和な表情を取り戻した。
…もっともそれは、臨也の本性を覗き見た彼女達からすれば、安心できる材料には一切なり得なかったのだが。
彼は先程とは全く別人のように、二人にこのオフ会を開いた理由を語る。
それは『金儲けのため』という、なんとも即物的で、ある種人間味のあるものだった。

――嘘。見え透いた嘘。
少なくともさっきの臨也の顔を見たら、矢継ぎ早に吐き出された言葉を聞いたら、それが彼が垣間見せた本性だって、本能でもってさえ気付く。
だったら、今の人に好意を持たせるような笑顔も、妙に俗っぽい理由も、あの無機質な笑顔と突き放すような言葉の羅列に対して、完全に作られたものに過ぎない。
…まあ、前までは多少のお金に変えていたらしいけど。

女達が頭を抱えてソファに沈んだ。
臨也がドリンクに仕込んだ薬が効いてきたらしい。
彼女達は訳が分からないといった様子で臨也を見遣る。

その内一人が、二人と異なり平気そうに座っているミネに目を向けた。
彼は半ば哀れみ、同情するような顔を作る。
眉を下げ、目には長い瞼の影を落とし、口角を僅かに持ちあげ苦笑のような表情をする様を、見惚れたのか、あるいは単に頭が回らなくなったのか、女はぼんやりと眺めると、意識を失った。
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