Series『現桜』

□The 39th.「合格発表」
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「はぁはぁはぁ・・・」

薄桜学園3年1組 葛木桜華は有る場所に向かう為、廊下を走っていた。

「・・・」

その扉の前まで来ると、大きく息を吐き整え・・・

「先生!受かったよ!」

職員室の扉を勢いよく開け、桜華は入ってきた。

「やったな、桜華。」

体育教師 原田左之助が(本人無意識だが)フェロモン撒き散らしながらの微笑みを浮かべ声をかけてくる。

「これで、桜華ちゃんも将来は体育教師か?」

数学教師 永倉新八もニカッと笑いながら、原田に続く。

「うん、できればね・・・」

「ここだったら、雇ってもらえるんじゃねぇか?」

「そうだな、女生徒も徐々に増えてきているしな。」

原田の言葉通り、昨年は2年 雪村千鶴だけだったが、今年は20人ほど増えていた。

「それなら、原田先生の方がウケるんじゃないかなぁ。」

「そんなことねぇよ。
 まだ体育の方はいいが、どうしても保健部分がなぁ・・・
 女生徒相手は困るぜ。」

一応、そういう意識があったのかと、その言葉を聞いた桜華と永倉は驚いた。

「まぁそれはともかくとしてだな。
 総司と大学も一緒かぁ・・・」

「え?総司?
 あいつ・・・推薦で・・・」

永倉が話題を変える為に言った一言に桜華は驚いた。

「桜華、知らなかったのか?」

「うん。
 あいつ、何で・・・」

「さぁな、総司の奴・・・
 気まぐれだからなぁ。」

「永倉先生、そういう問題じゃ・・・」

「俺らも知らねぇんだよ。
 担任じゃねぇし。
 ただ土方さんと、何時も以上に揉めてるのを見て知ったぐらいだ。」

原田は肩を竦めながら話す。

「そうですか・・・
 今日、あいつ来てますかね?」

この時期の3年は自由登校になっている。

「あぁ部活顔出したいって、さっき俺に行って来たからな。」

剣道部顧問の永倉が答えた。

「わかりました。
 有難うございます。」

桜華は頭を下げ、職員室から出て行く。
その背に永倉は・・・

「もう今更だぞ!」

声をかけるが、桜華からは返事が無かった。



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