Series『現桜』

□The 35th.「進路(1)」
1ページ/5ページ




「山南さん、ちょっといいか?」

薄桜学園教頭兼古文教師 土方歳三は、保健室の魔・・・もとい保険医兼事務長 山南敬助の元へ訪れていた。

「何ですか、土方先生。」

山南は確認中の書類から目を離さずに答える。

「一つ、相談というか・・・」

ふぅと息を吐くと、土方へ向き直りながら・・・

「君にしては歯切れ悪いですね。
 一体、どうしたのですか?」

「桜華の事なんだが・・・」

「葛木君が、どうかしましたか?」

「アイツ、締め切りすぎても、進路希望を出してねぇんだよ。」

「そうなんですか・・・
 で、私に相談というのは?」

「あぁそれでな、山南さん。
 アイツに聞いてくれねぇか?進路の事を?」

「私が・・・ですか?」

「何度か俺から言ったんだが、桜華にしては珍しく有耶無耶でな。
 まぁこういうケースの場合、普通なら家に連絡というのもありなだが、アイツは・・・」

「そうですねぇ。」

山南も2年1組 葛木桜華の事情がよくわかっていただけに、連絡を行わない(できない)理由も想像が出来た。

「わかりました。
 私から話してみましょう。」

「すまねぇな。」

「いいえ土方君、態々私にありがとうございます。」



.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ