小説1
□恋のもどかしさ
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部活にいつまで経ってもやって来ない幸村部長を探しに行くように真田に言われた。私はマネージャーとして幸村部長を迎えに行く事になった。
「じゃあ、行ってきまーす。」
校舎の玄関で靴を履き替え、幸村のクラスである3年C組に向かってみた。
「でも、珍しいな…。幸村が委員会以外で部活に遅れるなんて。」
軽い足取りで階段を上がり、C組のドアを静かに開けてみた。
「ゆきむら〜…」
幸村以外、教室には誰も居らず、幸村が机に突っ伏していた。
「幸村?…寝てんの?」
静かに音をたてないように側まで来て、耳をすますと、微かに寝息が聞こえた。
「ちょっと、幸村。」
軽く揺らしてみたが、無反応。
ちょっと強く揺らす。まったく反応しない。さすがに困った。雑だけど、仕方ないから叩いてみる。
「ゆーきーむーらっ!!起きろー。」
「ん…。」
お、起きたか?なんて思ったけど、幸村はまた寝入ってしまった。
「も〜…、真田に怒られちゃうじゃん〜…。」
私はため息をついて、その場にしゃがみ込んだ。幸村はこっちの気も知らないで未だに眠り続けている。