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□プロローグ〜日常〜
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蒼side


並盛中の2−Bは何かと校内で話題にあがる

他のクラスより噂になりやすい人物が多いからだ。

例えば学年のマドンナ的存在の笹川京子がいたりするし、
野球部の爽やかな山本武も女子に人気で彼が何かするたびに話題になる。

一年の時に転校してきたイタリアと日本の混血である獄寺隼人なんかも山本同様女子に騒がれやすい、
まぁ彼の場合は性格が災いして女子が遠巻きにきゃーきゃーと黄色い声をあげるだけだが。

それらの中心にいる沢田綱吉もわりと有名だ

「ダメツナ」なんてよく言われている。

彼の周りには人が集まる、それも目立つ人物ばかり。

なんだかんだで、学校の鬼の風紀委員長とも知り合いだそうだし
ボクシング部の笹川了平なんかともつるんでいるらしい。

それが自分のいる2年B組、

ちょっと他のクラスより先生いわく色々な意味での問題児が多い。

噂といえば自分が噂になっていることもあるそうだ、話の内容はあまり聞いた事はないが。

たまに女の子に声をかけてみるとそう悪い印象の答えはかえってこないので、
変な噂の方でないようで安心。

だから、まぁ多分噂の内容は自分と友人の関係のこと...

『なぁ、今何考えてんの?』

隣から声が聞こえて、そちらを見ると屋上のコンクリートでできた床に寝転ぶ友人。

昼休みに入ってから20分ほどたち、弁当も食べ終えすることもないので二人して仲良く昼寝している今。

眠くなりながら、

空をぼーっと見て考えていた自分に声をかけてきたのは如月涼、
同じクラスの友人で学校では何かと一緒にいる事が多い。

背丈は小さく小柄、髪は天然の茶色で笑えば人懐っこい顔をしている。

『聞いてんの?』

相手が起き上がって上から顔を覗き込んできた、
澄み切った青い空が隠されて自分の顔に影ができる。

あと数センチ顔を近づければぶつかりそうな距離

なぁってば、と相手が苛立った声を上げたので「涼の事」と返した。

『は?』と聞こえたので「涼の事、考えてた」と言いながら相手の頬を抓った。

『あっそうかよ、離せ阿呆』

良く伸びる頬だ、柔らかい。

体制的に、首が痛くないのか心配になるが嫌なら勝手にどくだろうと思い触り続ける。

『そういや次の時間数学じゃん、あの先生嫌いだ。すぐ怒る』

頬を抓られながらも話す友人は眉の間に皺を作っていた、
童顔な彼が嫌そうな顔をすると拗ねているかのような顔になる。

「宿題してこない方が悪いんじゃ…?」

『この前はやってきたっつの、ノート忘れただけで!』

頬から手を離すと触っていた部分が薄ら赤くなっていた、
赤い部分を人差し指でなぞるとむず痒そうな友人の顔。

「痛い?」

『わかっていてやめないわけ?寝ぼけてる?』

「ぁあ、ごめん」と、言おうかと口を開いたとき屋上の扉のほうが先に開いた

誰だろうか

山「っお、蒼じゃねーか」

沢田綱吉一行が騒がしく屋上に入って来た。

山本武以外がこちらを見て表情を硬くしたのがわかった、ツナにいたっては少し顔が赤い。

一人近づいてくる山本に起き上がって挨拶をしようとすると、
隣で涼が『よっ、補習仲間』なんて挨拶をしては山本に爽やかスマイルで「よっ」と挨拶を返されていた。

「武達、今日は屋上来るの遅いね」

山「さっきの時間体育で後片付け任せられちまって、そういや二人いなかったのな」

『俺は、蒼がサボれって言うから一緒にサボったんだー。』と涼が言うと

「次の時間は涼達が後片付け任せられっかもな!」と山本。

『うわ…、腹痛だったんですとか後で先生に言っとこうかな』

「二人して?怪しまれるよ」

山本が突然「本当に仲良しなのなー」と意味深げにうなずく。

『ん?まーね』

「山本、飯食ってきなよ。食いっぱぐれるよ」と言うと
山本はそれもそうだと言った顔で「またあとでな」と沢田達のグループに戻っていく。

『仲良しだってさー』

眠たそうな顔で言い放った友人はボテッと再びコンクリートに寝転がった。

ぁあ、そういえば。

噂といえばこの友人と自分の事を、放課後に他クラスの女子グループが噂しているのを聞いたことがある。

「ねぇ、あの二人距離近いわよね」だとかはまだ良い

「美少年同士だし、そういうのなのかなぁ」

「緋音君の事好きだけど何というかあの二人なら仕方ないかも…」

「あの二人の間って独特な雰囲気があって、もう!間に入れないって言うか!」

「わかるーっ!もう夫婦みたいなねw」

なんて言われてしまっては、どう言ってあげれば良いか迷うくらいだ。

さっきも沢田がこちらを見て顔を赤くしたのも、
黒川が「ぁあ、やっぱり」なんて顔をしたのもきっと噂のせいだと思う。

『仲良しか?うーん?仲良しっつったらまぁ仲良しか』

一人納得している友人は噂のことを知らないようで女子にきゃーきゃー言われても女子を怖がるだけで能天気だ。

「仲良しだよなー」と言うと『なんか改まって言われるときめぇな』と返される。

とりあえずデコピンしておいたら額を押さえながら『てぇっ!』と吼えられた。

強暴な小動物のようで可愛く思い頭を撫でてやると
『何なんだよ!』と言いつつも甘んじて受け入れてくれる。

そんなんだから恭が涼の事をさすとき「ねぇ、あのちっさいの。獰猛な小動物みたいな」とかなんとか言われるのだ。

そんな事を考えていた時、涼が頭を撫でられながらうとうとしだした。

バイト三昧な生活のせいで体調を崩すんじゃないかと思い、
今日は体育をやすませた。

倒れられても困る。

『頭撫でて楽しいかー?』と聞かれるので

「うん、わりと」と返事をすると理解できないらしかった、涼が微妙な顔をする。

でも、頭は撫でられたまま。

屋上にはまた別の女子グループが入ってきて、

「わぁ!やっぱり!」

「本当だったの!?」なんて嬉しそうな顔をしてこちらを見ている。

きっと今日も2年B組の誰々がね!なんて噂になるのだろう。

2年B組は噂の宝庫なのだから。

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