ZSの部屋

□七夕の夜に
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いつものように、2人で酒を酌み交わす夜。
トレーニングルームと化した展望台の窓から外を眺めながらサンジが。
「1年に1度の会瀬だってのに、こんな天気じゃ織姫ちゃんも気の毒になぁ」
そう呟くのを聞いたゾロは(ん?)と、という表情をした。
「だから、今日は七夕で。織姫と彦星が1年に1度逢える日なんだよ。甲板に笹立てて短冊飾っただろうが」
「ああ、だからか…」
なんで甲板で晩飯だったのかを今頃理解するゾロにサンジは少しだけ頭を抱える。

昼間からの曇り空に甲板での夕食を止めようかと思ったが、お祭り好きの船長の「中止は反対!」の声に長鼻の狙撃手に青鼻の船医、骸骨までもが賛同したものだから、
「雨になっても知らねぇからな」
呆れながらも夕食の支度をしたサンジだったが。
船長の思いが微かに通じたのか、曇り空のまま星は見えなかったがとりあえず雨は降らなかった。

そして今頃。
夕食の片付けを終えて2人の時間に至った頃になって雨が降りだしてきたのだ。

「で、なんで織姫が気の毒なんだ?」
酒を瓶のまま口にしながら言うゾロに、サンジは大袈裟に溜め息を吐く。
「雨じゃ逢えねぇじゃねぇか」
「…なんで?」
「だって星見えねぇじゃん」
「……」
ゾロは首を傾げながら酒瓶を床に置く。

「関係ねぇだろ?」
「なんで?」

「星なら雲の上にあるんだろうが」
「!」
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