ZSの部屋
□日常の中の恋人
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とある日。
晴天で良い風が吹いている穏やかな日。
おやつの片付けと夕飯の仕込みを終えたサンジはキッチンを出て甲板で煙草に火を付けていた。
フーっと一息付くサンジの前には、ルフィ、ウソップ、チョッパーの3人がワイワイ言いながら洗濯をしていた。
「あれで洗濯できてんのかね?」
傍から見ていると水遊びをしているようにしか見えないのだが…。
思わず近づいていくと。
「おっ、サンジ。良いトコに来たな」
ルフィがにんまり笑う。
「ほら。チョッパー」
ウソップの声と共に目の前に現れた真っ白な物体。
「毛皮強化!」
洗濯途中の泡で首から下を包まれたチョッパーの姿だった。
その姿に大笑いしたサンジだったが、ふと、ウソップの洗濯桶の中に見慣れたモノを見つけて表情を変える。
(…アレは……)
突然笑みの消えたサンジを訝しがるように動きを止めた3人に、
「お前ら、後でその水浸しの甲板もちゃんと掃除しとけよ」
そういい残して船尾に足を向ける。
残された3人は口々に文句を言いつつも突然殺気だったサンジを追いかけたりはしなかった。
「おい、起きろ」
思った通り、目的の場所で昼寝に興じているゾロに声を掛けるがそれくらいで起きる男ではない。
それはサンジも承知している。
「起きろっつてんだろうが!」
イライラした気分のまま右足でゾロの腹を蹴り付ける。
それには流石のゾロも咳き込みながら目を覚ました。
「…なにしやがんだ。この、クソコック!」
不意を付かれて思わずなってしまった涙眼に睨まれても怖くは無い。
「何してるだって?それは俺のセリフだ!!」
気分良く昼寝していた所を突然蹴り起こされて、しかも怒鳴り付けられている。
メシの時間に遅れたのか、と思ったが、おやつは食べた後だったし、晩飯の時間にしてはまだ空は明るい。
「一体、何だってんだ?」
起き上がり胡坐をかいて見上げたサンジはこめかみに青筋立てて睨んでいる。
何をそんなに怒っているのか、全く検討の付かないゾロは溜息を1つ吐きながら頭を掻いた。
訳の分からないまま、言い返して口喧嘩から殴り合いになってしまったら、サンジが何に怒っているのか本当に分からなくなってしまう。
このまま喧嘩に発展してしまうと、少々都合が悪い。
今は取り敢えずサンジが何に腹を立てているのかを知りたかった。