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□エピローグ
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エピローグ:弟からの追伸
追伸、
お姉ちゃん、うまく泣くことはできたかな。
涙は悲しい時だけに流すものじゃないけれど、悲しい時以外の涙をおしえる時間がぼくにはないんだ。
ごめんね。ぼくはお姉ちゃんに泣いてほしかった。涙を流してもいいから、ぼくのことを忘れないでほしかった。
お姉ちゃんを1人にしてしまうことが、ぼくは一番つらい。
キツネさんにも雲さんにもお姉ちゃんのことを頼んでおいたから、大丈夫だとは思うけど。
お姉ちゃんへのおくりものを探しに行く時も、すごく悩んだ。
この残り少ない時間は、お姉ちゃんと一緒にすごすほうがいいんじゃないかって。
でもぼくはどうしてもお姉ちゃんにおくりものをしたかったんだ。
ぼくはもうお姉ちゃんの紅茶(世界一おいしいとぼくは思ってる)を飲むことはできないけど、お姉ちゃんのそばに、だれかがいてくれたらいいのになって思う。
お姉ちゃんの紅茶を、一緒に飲んでくれるだれかがいてくれたらいいのに。
けど、悪いひとはだめだよ。
お姉ちゃんはとてもじゅんすいなひとだから、悪いひとにだまされないか心配なんだ。
そうだなあ、ぼくと同じ考えのひとだったらゆるせるかなあ。
「お姉ちゃんは、世界で一番すてきな『からっぽ』な女の子だ」ってわかってくれるひとならね。
そしてどうか、生涯しあわせに暮らしてください。
だって、物語はいつも「めでたし、めでたし」で終わらなくちゃいけないんだから。
終わり。