二次創作小説・・・ぽいものへの挑戦

□「ラッキー・ストップ 〜変身禁止〜」 1/3
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先程とほぼ同じ検査を受けながら、
元気そのものなラッキーマンに一同は顔を見合わす。

だが、マイド・アサヒ・シンブン医師の雰囲気が
段々真剣に、無口になってゆく事に
ラッキーマンは気づいていた。

最後に、ラッキーマンの胸に聴診器をあて。
マイド・アサヒ・シンブン医師は聴診器を
診察台の上に置き、天才マンに頷く。
待っている様に告げ、席を外してしまった医師と天才マン。

「何話してるんだろ、もう帰りたいな〜」

と、飽きた風にボヤいてみせるラッキーマン。
友達でしょ〜、もう帰してよ、と頼む彼に苦笑して。

「ちょっと聞いて来てあげるよ!友達だからね」
と、友情マンも相棒を連れ、席を外そうと立ちあがる。
師弟の横を通り過ぎた瞬間、努力マンのその燃える瞳が揺らぐ。
弟にだけ聞こえるであろう、小さすぎる呟きを次兄は囁いて行った。


____彼から目を離すな。____


「努力ちゃん、ジュース買ってきて」
「あとで買ってきます」
「あ?!あのバイクの音、マリアちゃんじゃん!」
「違いますよ、師匠」

そんな何回かのやり取りの後。

「努力マン。分かっててやってんだろ・・・」

先程の天真爛漫さの失せた、幾分低い声が漏れた。

「ちょっと一人にしてよ」

「今は・・・駄目です師匠」

椅子に座ったまま、ジッと努力マンを見上げていたかと思うと。
ラッキーマンはふと立ち上がり歩き出した。

無言のまま、その後をついてゆく努力マン。

「トイレだよ!努力マン!」
「なら、そちらじゃありません。あちらです」

肩ごしに怒る師に、弟子は部屋の一角を指し示す。
一度立ち止ったその背中は、次の瞬間全力で駆け出していた。
ドアに飛び込むと同時に、内側から押さえつける。

ドアの向こうから、鉄ゲタの重い足音がゆっくり近づいて来て、止まる。

「来るなよ、努力・・・」

ドアに頭を押しつけたまま、ラッキーマンはポケットに手を入れる。
だが、ケースを取り出そうとした所で腕ごと何者かに掴まれた。

跳ねる様に振り返れば。
そこはただの空き部屋だった。
ラッキーマンの右手から、ケースをそっと取り上げて。
天才マンはドアの外に向かって声をかけた。

「とっさに上手く誘導してくれた、努力マン」
「はい・・・」

呆然と、部屋の中に佇む医師に友情マン、一匹狼マン、
そして天才マンの順に眺めるラッキーマン。

「とりあえず・・・ドクター・ストップだ。
あと、私がお前の弟子に嫌な役を頼んだ。・・・すまない」

診断と。謝罪を告げる言葉を受けとめて、
ラッキーマンは息を吐き、力なく苦笑した。

「良いよ。怒ってなんかないから」

ドアの外、いまだ部屋へと入って来ない努力マンが息を呑む。

「だってさ、そんだけ私の弟子は優秀だって事なんだからさ」

聞こえてくる朗らかな声に、師匠!!と部屋に飛びこんだ
努力マンを迎えたのは。
今まさに変身が解け、床に崩れ落ちる様に倒れる、
追手内洋一の姿だった。








(中編、へ続きます)
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