二次創作小説・・・ぽいものへの挑戦

□「ラッキー・ストップ 〜変身禁止〜」 1/3
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「はい、吸って〜。・・・良いですよ、はいて〜」

飛田くんの中で、「出張!なんでも診察団」は始められた。
友情マンに一匹狼マン、天才マン、努力マン立ち会いのもと。
もはや拒否権のない彼は、大人しく指示に従うしかなくて。
しかし、幸いな事に体の不調はあれから一切感じられなかった。
目の前の医師、・・・
名前なんだっけ?・・・前に見かけてるんだけど。
じっと自分を見ている洋一に気づくことも無く、
その医師は拍子抜けと安堵をまぜた様な表情で笑んだ。

「これと言った大きな問題は感じられませんね。
少し体重が軽い事と、記憶力が低めなだけで」
「やった!!」

思わずバンザイする洋一。

「でもさ、ボク記憶力そんな低いの・・・?」
「では。私の名前を言えますか?」

「ええええ?!!・・・マイド・・・マイド・キリンビール?さん・・・?」

はあ〜、と大きく息を吐くと目の前の医師は首を横に振った。
助けを求める様に皆の方を見れば、
後ろで苦笑している友情マンと、
何やら考え込んでる努力マン。
・・・努力、お前も忘れたんだろ。
心の中で洋一はツッコミを入れた。

「マイド・アサヒ・シンブン先生だ、ふっ・・・」
「ああ〜! でもさ、今まで2回位しか
フルネーム聞かされた事なかったんだよね、考えてみたらさぁ」
「覚えてる方は覚えていますよ。
現に私は天才マンには名乗った事もないのにご存じでしたし。
とにかく。
異状は認められませんよ」

腑に落ちない部分は少々あれど。
マイド・アサヒ・シンブン医師のにっこりと告げた言葉に
洋一は心底安心し、笑った。

良かったですね!!とやっと笑い、喜ぶ努力マンと。
大げさだって言っただろ?とクールぶる洋一を横目に、
天才マンだけが顎に手をあて目を閉じて。
どうした?と友情マンの声に、静かに疑問を口にする。

「・・・昼間のアレは、私の目で見てただ事では無かった。
放置して良い状態では無いはずなのだが」
「しかし、現にピンピンしてるじゃあないか」

上着を着る洋一を見ながら、努力マンの顔がわずかに曇る。

「たしかに・・・
「大丈夫だってば。昼間はほら、侵略宇宙人と戦った後だったから。
朝ごはんも食べ損なってたしね。空腹だよ、空腹」

へへ〜と笑いながら洋一が駆けてくる。

「昼間のアレは・・・戦闘後か?洋一」
「ん、そうだよ」

天才マンは機嫌の良い洋一をしばし見つめ。
静かな声で言葉を発した。

「・・・ラッキーマンに変身してくれないか?」



見たい深夜アニメもあるし帰りたい、と駄々を捏ねたが効果は得られず。
天才マンの真剣な表情に、洋一以外の全員が賛成した。
夜空を見上げれば、幸運の星までもが賛同している。

「らっきょ、忘れたみたい」
「師匠はいつもここに入れてるんですよね、変身らっきょ」

ホラ吹いた途端に、懐から変身らっきょをサッと取り出されてしまい固まる。
弟子の、弟子とは思えぬ態度に今更ながら肩を落としつつ。
らっきょを飲み込んだ洋一を、またあの違和感が襲った。

___まただ____

だが。皆が注目するなか、笑顔でラッキーマンは顔をあげ
Vサインをつくってみせたのだった。

「ラッキーマン、健康診断を受けるためだけに
ただいま参上!」
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