二次創作小説・・・ぽいものへの挑戦

□「ラッキー・ストップ 〜変身禁止〜」 1/3
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泥のように眠る洋一の鼻に、よく知っている匂いが届く。
消毒液の匂い、そしてちょっと硬いベット。
遠くから聞こえてくる生徒達のふざけ合う声。
ああ、ここは____

「気がついたようだ」
ぼやけた視界の片隅で、鮮やかな金色が揺れる。
聞き覚えのある声に、ぼんやり生月か、と理解したと同時に、
視界いっぱいにいつもの熱が飛び込んできた。

「師匠・・・・」

洋一の左肩に右手をおき、努力が呟く。
叫ぶでもなく、俯いてしまっている。
何も言わない努力に戸惑い、洋一は生月を見つめた。

「なに・・・?どうしたの??」

何故自分は保健室で寝かされているのか。

「またボク、ボールにでも当たったのか」

頭を掻きながら苦笑、身体を起こし・・・

そのまま胸を押さえて固まる。

「師匠!!」

慌てた努力が背中をさする。
洋一は動揺する努力に大丈夫、と笑いながら、
自らの荒い息に焦っていた。

最近感じていた、この重々しい胸の鈍痛。
治まるのを待っては、無理やり思考の外に追いやってきたが・・・。
いよいよ誤魔化しきれなくなってきたらしい。

「洋一」

洋一の様子が落ち着いてくるのを待ち、生月は一言だけ言った。

「友情マンが医師を呼んだ。今夜彼が迎えに行くまで、洋一は家で待つように」
「!」

生月が視線で努力を指す。
その視線を受けとめて頷く努力。

「あのさ・・・
「追手内君?君、今度はどうしたの」

口をはさもうとした所で、保健医がひょっこり帰って来た。
生月が貧血だ、とか言っているのを聞きながら横を見れば。
自分の事をじっと無言のまま見つめる努力がいた。

「・・・大げさだよな、ほんと」

洋一は面倒臭そうに、小さく笑ってみせたけれど。
努力は、笑みを返さなかった。

思い詰めて笑わない努力なんて苦手だ・・・、としみじみ感じる。
普段大げさな奴だけに、なおさら。

予告通りに夜、努力は迎えに来た。
変身してるわ、いきなし窓をノックしてくるわで
少し驚いたけど。
努力マン曰く、こんな夜中に連れ出す理由をパパママに説明する自信がないらしい。

「ただでさえ、ここ何年かの行方不明時の期間の長さに敏感になっておられますからね」、
と言われてしまえば、洋一でさえ何も言えない。

努力マンの背に乗せられ着いたのは、
人目につかぬ場所に停められた宇宙船・飛田くんの前だった。
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