二次創作小説・・・ぽいものへの挑戦
□再会〜星のかけら2〜
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一瞬の間ののち、弾かれた様に母犬は走って来る。
同様に夢中で駆けだしたボクの前に、懐かしい・・・
そして年老いた母がいて。
控えめにすり寄った瞬間、泣きそうな香りに包まれた。
話す言葉も見つからないまま、ボクらは静かに再会を喜ぶ。
お互いしどろもどろだけど・・・
気持ちは、尻尾を見れば充分で。
門前はあまりに忙しく、再会に相応しくない。
やっとそれに気がついたボクは、母を門の外へと誘った。
しかし、母は頑なに門から出ようとはしない。
それならば、とボク自身が門内に行こうとしたとき___
ボクは、このお屋敷に入りたくない自分に気づいてしまった。
憎しみでも無ければ、意地でも無い。
ただ漠然と感じた本心だった。
黙りこんでしまったボクを、母犬の一声が呼んだ。
優しげなその声は、人間には「ワン」、としか聞こえないけれど。
思わず見つめかえすボクを母犬は鼻でそっと押した。
その瞳は、ボクの首元・・・
いつの間にか新品の輝きを失い、すっかり馴染んだ
首輪とリードに注がれていた。
ああ、そうだねとボクは母の前でクルリと回ってみせた。
頷く様に一声吠えたとき、頭上から水滴が落ちてきた。
見上げるより早く、いつもより多めに涙を流した
努力マンに抱えられる。
ビックリ顔の母の目の前で、
「良かった、本当に良かった・・・!!」とくり返し、
頬をグリグリすりよせて来る。
『恥ずかしいケン、やめてくれケン!』
ワンスカ訴えるボクに、
「そうか〜、寂しかったか。悪かったなぁ」と
嬉しそうに笑い。
そのままフワリと浮かび上がってしまう。
慌てて、母犬を見下ろしてみれば。
自動で閉じられ行く門のなかで、
本当に嬉しそうな顔をして。
ボクらをずっと見上げ、見送っていた_____。