二次創作小説・・・ぽいものへの挑戦

□星のかけら
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 少年はどんな時も、時間がかかっても必ず帰ってきた。
ケガをした時も、マンホールに落ちた時も。
何があっても、誰が相手でも。
少年の家族と共に自分も信じて待っていた。


そして、また平和が帰ってきた。
多くのヒーローの活躍によって__。

それなのに。木々の葉の色が変わっても、葉が落ちて、また新たな緑に彩られても。
少年だけが帰って来なかった。

理由は宇宙で一番偉くなったから。
そんなの昔から知っている。
ラッキーと言う幸せの名前をくれた少年が、一番偉い人だと言う事なんて。


ラッキーマンのラッキーが足りないのかもしれない。
もしかしたら、変身が解けたままラッキーマンになれずにいるのかもしれない。

助けが今こそ必要なのではないか?


そう気がついて勢いよく犬小屋裏の土を掘り返したとき、すでに___
缶の中で、らっきょはその色を変えていた。
目に見えて腐ってしまったと分かるそれを前に、思考が凍る。
すがるように見上げた空に、幸運の星はない。
きっといるべき場所に行ったのだ。

幸運の力、不思議なそのらっきょが腐るなんて。
少年の持ってたらっきょにおこらなかった事がおきたのは、
缶に詰めたせいなのか。
それとも、これも運の無い為なのか___。

こみあげる泣きたい気持ちと、その勢いで缶のフチを前足で引っかけ、中身をこぼす。

土ごとでも良い、そのままかじりつこうとした瞬間、
らっきょから体を引き離される。

「ラッキー!どうしたんだ!」
抱き上げられていると分かったのと、声が頭上から降ってきたのは同時だった。

「気持ち悪いのか・・・?」
そう心配顔で、燃えさかる瞳のヒーローが自分を見つめる。
「・・・ワンワン!!」
ジタバタともがきながら、色を変えた土とその上に散乱するものを示す。
その視線をたどった努力マンの顔が固まった。

「・・・らっきょ?・・・腐ってる、いや!」
腕に抱きあげたまま、慌てて僕の口を開かせてきた。
「食べて具合がおかしく?!もどしたものなんじゃあ・・・」
「ワウワウワ〜!!!」


ひと悶着ののち、やっとの事で解放された。
「あれを食べて・・・変身しようとしたのか・・・。」
自分を地面に下ろし、見つめてくる努力マンの声はひどく静かで。
思わずその顔を見上げる。
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