二次創作小説・・・ぽいものへの挑戦
□星のかけら
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気持ちが落ち着くにつれ、自分が飼い主であった女の子達を憎んでいないことに気がついた。
本当に捨てられたなんて知らなかったのだろうと。
それに___もし、万が一そうじゃなかったんだとしても。
悪かったのは、自分が運がなかったから、守れる力が無かったから。
あの子の気持ちを慰められるような、可愛い顔つきではなかったから・・・。
悲しい気持ちになったとき、
漠然とそう思う様になっていた。
ただ「ついてなかった」だけなのだ、と。
どちらにしても、自分はついてなかっただけなんだ。
その運の無さは、今のご主人のオリガミつきであるのだから、間違いない。
思考の末に、決まって現れる少年の存在に、ふとしっぽを振りたくなる。
不運をまとったその犬が、自身の過去を憎みすぎないでいられたのも。
その事や、日々起こる多くの事に、心をいじめ過ぎないでいられたのも。
きっと、その少年に会えたから。
一緒に笑ったり、ケガしたり、泣いたり、頑張ったり。
情けない時も隠さず笑いあえる、そんな相手に会えたから。
犬小屋の裏、小さな木の根元。
なぜか傍に巣を作っていた蜂達に刺され、赤く腫れあがった頬をおさえながら。
痛々しく腫れた手で、小さな缶に入れたらっきょを隠し、軽く土をかぶせて。
振りむいて、そして。
「じゃあここね。ちゃんと覚えとけよ、お前もついてないんだから。」
イタズラそうな顔と声で、少年は自分にそっと呟いた。
らっきょをわけてくれたあの日、今度こそ守れる、と思った。
大好きな子を、主人と飼い犬と言う関係だけど、その実ただ好きなだけなその少年のことを。
少年を泣かせる悪い奴や、困らせることから守る事が出来たら。
きっと離れないでいられる。
ずっと傍にいられるに違いない。
見たくなったものを、見られるかもしれない、と。