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□絶対離さない
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「グレイー?」
「…………あぁ?」
「早く行こうよ〜遅刻だよ!?」
グレイとルーシィは1コ違いの幼なじみ。
2人とも幼い頃に親を亡くしてからずっと一緒。
もちろんグレイはルーシィに恋心を抱いてるわけで。だけどルーシィはそんな歳上の気持ちにも気ずかず、男に告白されては断るかOKをしていた。
そんなルーシィは最近彼氏と別れたばかり。
グレイは内心嬉しくもあるが、逆にまた他の男に言い寄られないか、と心配している。
「遅いよ。」
「わりぃ。」
と、ルーシィの髪をくしゃっと撫でるグレイ。
「早く行こうよ〜」
グレイは自転車にルーシィを乗せ、出発した。
「ルーシィおはよ〜」
「おはよ。」
「ルーシィちゃん、今日も可愛いねー」
なんて声がさまざま聞こえてくる。
男ばっかじゃねーかよ…
そんなルーシィをわざと避けさせるようにしてグレイは引っ張って行った。
「おい。グレイー何してんだ?」
「あぁ…ルーシィ待ちだよ。」
「ルーシィ…?あぁ〜あの一年生の!可愛いよな〜あのこ、」
「そうだな。」
「え?狙ってんの!?」
「グレイー!!ごめんね。」
「大丈夫だ。じゃ、わりぃけどオレ帰るわ。」
「おぅ!じゃまた明日な〜」
ルーシィはペコリと軽くお辞儀をして帰って行った。
「なぁ…お前、今日元気なくねーか?」
「そう?そんなことないよ〜」
急に自転車を止めたグレイ。
「隠してもムダだっつーの。何年付き合ってると思ってんだ。ばーか。」
ルーシィのおでこを弾く。
「私…もう彼氏つくらない。」
「ふぅん。」
「恋なんてしたくないよ!!」
ボロボロと涙をこぼすルーシィ。
グレイはただただ驚くばかり。
朝までルーシィは普通──よりか少しカラ元気という雰囲気だった。
「ルーシィ…」
泣きじゃくってグレイに抱きつくルーシィ。
「私…っ…」
「何があった?ルーシィ。」
聞いても泣くだけのルーシィ。
誰かわかんねーけど、ルーシィを泣かせるなんて許せない。
ルーシィを悲しくさせるなんて許さねぇ。
「グレイっ…」
「どうした、ルーシィ?」
「グレイは、グレイだけはさ…私から離れないよね?」
「当たり前だ。ずっと側にいてやるよ。」
「もう、あんな思いしたくない……」
そっとルーシィを撫でながらなぐさめるグレイ。
「少し、落ち着いたか?」
「うん…だいぶ」
「オレはお前の側から離れねーよ。何年だって、一緒にいてやる。」
そして、そっとルーシィの額にキスを落とす。
「だから、お前も離れるな。」
「うん…」
ぎゅっとグレイに抱きつけば、強く抱き返してくるグレイ。
「───もう離さない。」
耳元でそっと囁かれた。