浅き夢見し恋せよ乙女

□期間は一週間
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考え方も、友人関係も、生き方も、まるで自分と正反対な、いわゆる皆の中心にいるような人の類。
そんな人と関わることは今まで、そしてこれからも絶対にありえない。
…はず、だったのに、

目の前のこの人は、一体私に何を言っているのだろう。






「あの…今、なんて」



耳を通して脳内へと変換された言葉がよく理解できず、私はもう一度聞きかえした。





「アンタが好きだ、オレと付き合ってくれねえか?」




しかし、やはり相手は先程と全く同じ言葉を美雨に向かって繰り返したのだ。
私の耳、おかしくなっちゃったんですかね…





「今日は4月1日じゃないですよ?」

「I know.  嘘なんかついちゃいねえ」

「本気だと?」

「Yes.そのとおりだ」





何かの間違いだ、と思う。
だってこの人は…




「Sorry言い忘れた、オレはーー」「知ってます、隣のクラスの伊達政宗君」
「!オレのこと知っててくれたのか!?」




いや貴方を知らない人なんてこの学校に存在しているんでしょうか。
口には出しませんが。



伊達政宗君、野球部の部長であり期待のエースピッチャー。
それに加え頭脳明晰、容姿端麗、何もかもがパーフェクトで
もう人間国宝と言わんばかりの
人。
もちろん当たり前の如くモテモテモテで(ポイントなので一回多く言いました)、
両サイド、と言いますか周りには常に女の子がONしてます。

そんな雲の上…最早大気圏突破しちゃってる人が私に告白、ましてや私を好きになるわけないじゃないですか!
ありえようものなら天地がひっくり返りますよ!!





「あの…やっぱり人違いじゃ…」

「No. オレはもうアンタ以外眼中にないんでな、間違えるはずがねえんだ」





即答。





「眼科に…」

「あいにく視力は3.0だ」





撃沈。
3.0て最早人間じゃないです。





「精神科に…」

「至って正常だ」



ペラッ【診断書   伊達政宗様    診断の結果、異常な部分は見つかりませんでした。ぶっちゃけ正常過ぎてつまらないです】



「な?」

「…」




…お医者さんぶっちゃけ過ぎですし、てか精神科行っちゃってるし。
じゃあ伊達くんはなんていう病気なんですか、これ。




「…アンタ、よっぽど認めたくねえみてえだが、オレのこと嫌いなのか?」

「べっ別にそうゆうわけでは…」

「じゃあなんでだ?」




なんか段々顔が近づいてきているように感じるのは気のせいではなさそうです。

彼の左目が私を捉え続ける。
気付けば顔は目の前で、鼻と鼻が当たりそうな距離なんですがっ///




「だ、伊達くん顔が近いですっ…//」

「言わねえと拒否権なしで喰っちまうからな。
ちなみに曖昧な答えは聞かねえ」

「そ、そんなっ」




心拍数がやばいくらい速まって鼓動も心なしか大きい。
顔なんてきっと真っ赤だろう。

どうしよ恥ずかしいっ!
でも言わなきゃっマズイっ!!




「……だって、」




意を決し口を開いた。




「だって、だだだだ伊達くんみたいにか、かかっこよくて完璧な人がわわわ私みたいなふ普通の子を選ぶはずが、ななないですもん!///
といいますか普通中の普通である私の存在を知ったことにび、びびっくりです!」

「……」




か、噛んだぁぁぁ!!
思い切り噛んだぁぁぁぁ!!
けど言ったぁぁ!!私言ったよお母さぁぁん!!!





「…つまりだ」



内心お祭り騒ぎの勢いに達しそうな私に、平然とした声で伊達くんは言った。




「オレがアンタのことをどんくらい好きか示せば信じられるわけだな?」

「あぁ、まあそーゆーわけですので私はこれで…って、え?」




なんか別の捉え方をされてしまった気が…
思わず返事しちゃいましたが…



視線をゆっくりと上に向けると、すごくなんか企んでますよ感を醸し出した伊達くんと目がかち合った。
その弧を描く口元が…何故か怖い。




「あの…伊達くん…?」

「ha…上等」

「今なんて…」

「一週間だ」

「…ハイ?」

「一週間で、アンタを惚れさせてやる」

「え、え?」




どこからそんな自信が出てくるのでしょう。
なんか逆に羨ましいです。


呑気にそんなことを考えている私も私だと思いますけど。




「覚悟しとけよhoney?」



そして彼は私の額に軽くキスをした。




「なっキッ…!?///」

「Ah?ここだけじゃ不満か?」

「いえいえいえいえ」

「まあ一週間後には嫌っていうほどしてやるよ」

「あ、もう確定なんですか」






翌日、政宗が人目もはばからず美雨に赤面ものの愛の言葉を叫び・囁き始めたことと、
結局、彼の宣戦布告がどんな結果をおさめたのかは
また別のお話。



期間は一週間
(Good morning honey!今日もhoneyは地上に舞い降りたangel並にcuteだな!!)
(ちょ、これ一週間も続くの!!?)

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