青の祓魔師

□あなたへささぐボクからの花束
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今日、べヒモスは虚無界へ里帰り中

なんでも彼が王様をしているコロニーで彼の曾孫が産まれたとかで

お祝いに帰るために暇をもらいたがった

いつもお世話になっているから

大好きなべヒモスに

『地の王』としてボクからも

沢山のお祝いをあげた

虚無界に

何百ものゴブリンが快適に暮らせる新しい土のお城と

沢山の綺麗に輝く宝石をゴロゴロと

食べきれないほどの物質界の甘い果物と

色鮮やかな物質界の花束をお城の大広間いっぱいに

久しぶりの家族との再会の時間を3日間

喜んだべヒモスを見送って


ボクは暇な1日を物質界で過ごす

地の属性のモノは何でも

自分の望むがままに

だが、物質界では あまり役に立たない


いつも一緒にいてくれるべヒモスがいない事に少し寂しさを感じる

燐は学校

兄上は仕事

いつものべヒモスと過ごす時間がなくなって

一人で散歩に出る事にする

正十字町の街並みを見下ろしながら、屋根の上を渡り歩く

一人だとツマラナイ

きょろきょろ何か暇をつぶせるモノがナイか辺りを見回して探す

隣の屋根を歩く小さな黒い動物を見つけた

アレは確か、奥村 燐の頭に乗っていた猫だ。

アレも悪魔なのかな?

小さな黒猫からは悪魔のニオイがする。

首をかしげて

通り過ぎて行こうとする猫を追いかける。

ぴょーん と屋根を飛び越えて、黒猫の前に着地する。

「こんにちは」

”…?…”

話しかけると、真っ黒な猫は歩みを止めてコチラを見上げてくる。

べヒモスとはまた違った可愛らしさだ。

「暇なので、ボクと一緒に遊びませんか?」

”オマエ、だれだ?”

にゃあ と鳴いて問いかけてくる。

「ボクはアマイモン 悪魔の王様です。ハジメマシテ」

”オウサマ?”

「はい。キミは悪魔ですか?」

”おう!オレはアクマだ!ちゃんとシッポがニホンあるだろ?”

にゃーん と答えて2本の尻尾をピンと立ててみせる。

「尻尾が2本だと悪魔なんですか?…?ボクには1本しか尻尾はありませんが」首かしげ

”ねこ はニホンでアクマなんだ!で、あそぶって なにするんだ?”

「何をして遊びましょう?」

”それをオレにきくのか?!”

「はい。今日はべヒモスがいないので暇なんです」

”べヒモス?ってなんだ?”

「ボクの友達です。ちょっと用事があって虚無界に帰ってます」

”そうかー。オレ、おなかすいた!おまえ、おいしいごはんくれるか?”

「美味しいご飯?」

”りん はいつもオレにおいしいごはんをつくってくれるぞ!”

「燐が?」

”おう”

「確か、猫が好きなモノは…」首をかしげ

”またたび!”

「そう!木天蓼!イイですよ?ボクは地の王様ですから、植物は何でも出せます」

パチン☆と指を鳴らせばポン☆と涼やかな白い小さな花が沢山付いた緑の葉が茂る木天蓼の木の枝が出現する。

「はい。キミにあげます」

”わああ!すごい!おまえ、すごいぞ!またたびだ〜!!すごい!いいにおい♪オレ、この におい すきだ”

にゃ〜ん と酔ったように足に すりついてくる小さな黒猫を抱き上げる。

「気に入りましたか?」

”おう!すごく きにいった”

「で、キミは何が食べたいのですか?」

”いらない!おれ、またたびがあれば もう なんにもいらない”

「そうですか」

ふわふわする猫の腹を飽きるまで、撫でてやる。

嬉しそうに笑い転げて気持ちよさそうにゴロゴロ鳴く。

「……」

すっかりご機嫌になった黒猫を、奥村 燐と同じように頭の上に乗せて歩く。

”しあわせだ〜”

完全に酔っぱらっている黒猫の温かな重さが妙に心地よくて、しばらく頭に乗せたまま町を歩く。
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