青の祓魔師

□夢現
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夢現、ここはどこ?
夢現、皆が呼んでいる
夢現、すべて消えちゃった




本日の目覚めは本当に悪かった
皆が消えていく夢、現に何か大切なものを失っているような感じがする
威厳とかそんな抽象的なものじゃなくて、もっと目に見えるような…

「…俺ってこんなに髪長かったけ?」

悪魔である俺は怪我の治りが早い、ならば髪が早く伸びたって普通じゃないのか?

「俺、胸なんてあったっけ」

悪魔である(以下略)ってちょっと待て、さすがにありえねぇだろ!性別変わるとか

「うぎゃぁぁぁあああああああ」

そう、まさに大切なものを失った






「兄さん!?どうしたの?」
「ゆ、雪男…来るな、そして今起こった出来事を記憶から抹消しろ」

布団をかぶりながら早口にまくしたてる兄
例え兄さんの頼みでもそんな怪しい恰好なのに聞けるわけがない
意を決し、布団をめくろうとそろそろ近づくと…

「に、姉さん?」
「にぁぁあああああああああ」

思考回路がフリーズした僕と、ネコみたいな叫び声を放つ兄?いや、姉

「に、姉さん。どうしてそうなっちゃたの?」
「兄さんと呼んでくれ…てか、俺にも分かんねぇんだよ」
「何か拾い食いしたとか?」
「俺は犬か!?はぁ、言い争ってても解決しねぇよな…」

意外と現実的な意見を出した燐にとりあえず従う雪男

「でも、制服とかどうするの?今からじゃ間に合わないし…」
「それは…あいつに頼めば!」
「気は進まないけど、仕方ないか…でも、どうやって呼ぶの?」
「それは、これをこうしてだな」

犬笛のようなものを吹く燐
すると、土煙を上げながら走ってくるメフィスト(犬)

「お呼びですか?奥村、君?」
「女子の制服を用意してくれないか?」
「それはお安いご用ですが…どうしてそうなったのですか?」
「それは後で説明するから!早くしてくれ」

早くしねぇと弁当作ってるヒマがねぇ
つか、胸って肩こるんだな
下着とかどうしよ…

「アイン、ツバイ、ドライ。これをどうぞ」
「サンキュー、着替えるから出て行ってくれ」
「えー、頑張ったのに〜」
「キモイ、早く出ていけ」

倶利加羅を構える燐
流石に身の危険を感じたのか、そそくさと出ていく

「下着のサイズまでぴったり…もはや神の域だな…」

いや、変態と言うべきか?
変な所で真剣に悩む燐
まぁ、初めて着たにも関わらず早く着れたことは良かったのか…

「うー、下着めんどいな…脱ぎてー」
「是非ッ!じゃなかった、兄さん世の中の男はみんな狼なんだよ?主に、そこのピエロとか…」
「ひどいですね〜それはあなたの方ではありませんか?奥村先生」

まさに冷戦状態…

「とりあえず、時間も時間だし弁当作るか」
「期待してるよ」

新婚夫婦のような二人…
羨ましい…密かにジェラシーを燃やすメフィストだった

「原因が分からなければ対処しようがないので、とりあえずは様子見という事で」
「了解しました…」
「ハァ…今日一日これか…」

これから学校と塾かと思うと気が滅入る燐だった
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