仮面の王者<キングオブクラウン>
□夏への始まり
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ようやく始まろうとしている夏への序章。
それを目前と控え、
神奈川県内どこの学校もひどく盛り上がりを見せている。
翠は偵察のカメラを回しながら、そう考えた。
もちろん立海大も例に漏れることもないが…
立海大が目指しているものは、あくまでも全国優勝。
地区大会・県大会は通過点という捉え方がレギュラーの常識であった。
そのためか、
地区大会を目前と控えている今も、レギュラー・部員はいつもと同じメニューをこなしていた。
そして、亜簾那もさしたる変化もない様子で練習を眺めていた。
(ポテンシャルは十分…!
本番に負ける連中じゃない、これなら問題なさそうだな)
怪我もなければ、精神的にも十分整っているレギュラーを見て亜簾那は頷いた。
近年中々見ないベストメンバーとなったレギュラー陣はなんとも頼もしい。
亜簾那は部長不在という中での地区大会開催に不安がなかったわけではないが…
選手のこの様子を見る限りで、おそらくは心配は要らないと判断する。
後は相手選手の情報を翠が持って帰ってきて、それを熟知しておく。
それが監督として自分が選手にしてあげられることだ。
「よし!集合!!」
地区大会を抜ければ、県大会が待っている。
県大会を抜ければ、関東大会。
そこで、5位以内に入れば全国大会。
全国大会を全勝で上がれば、優勝。
――――勝ち続けることが常勝。
――――常勝こそ、立海大。
夏への始まり
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