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□感
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そもそもどうしてこういう事態になったのか。


私、陽ノ本アカリは、今日久しぶりに幼馴染みの工藤タイキの家に来ていて。
いつも通りタイキのお母さんに頼まれたタイキの起床を果たそうと、あいつの部屋に行きベッドで寝ているタイキにアカリエルボーを放とうとした時だった。
寝惚けたタイキが私の腕を掴んで自分の胸元に引き寄せ、そのまま布団の住人にされてしまい――――


タイキの腕の中にいる。

脱出しようと試みたけれど、一体何の夢を見ているのか、力強く締めてくる腕の力に敵うこと能わず、現状布団の中。

こうしてタイキの腕の中にいるわけで。


――いや
それは嘘だ。


本当に脱出しようと思ったなら、相手は寝ている人間、たたき起こすなり、声を掛けて目を覚まさせるなりできるはず。
私はそれを敢えてしなかった。
タイキの腕が私にかける圧力。
密着したタイキの胸から聴こえてくる心音。
それよりもかなり早鐘を打つ私の心臓の音。
元々そこにあった熱に加わった私の熱。

熱い

このままだと熱で爆発してしまうかもしれない、とさえ思える。

暗闇の中視線を上にずらせば、布団の隙間から漏れる僅かな光と、心音に添った寝息。
身じろぎすれば起きてしまうだろうか。


まだ起きないで。
今の小ずるい私をみないで。

自分の恥ずかしさに身を竦めると、抱えている荷物がカサッと無機物的な音を立てた。
タイキに捕まって引きずり込まれた時持っていた紙袋がここにきて存在を示す。
そしてそれは引き金になった。


「ん……なんだコレ柔らかい…………アカリ!?」
「…………オハヨ」




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