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□コタツ
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ジャスティスタワー内トレーニングセンター
普段通りカリーナが行くと、先客が一人、休憩室に木枠と布団を広げ満足そうに立っていた。


「タイガー?あんた何でこんな所で布団敷いてんの?」

「おう来たか、これは『コタツ』って言ってな、日本じゃメジャーな暖房器具なんだ。折紙が前に見たいって言ってたから家から送ってもらって持ってきたんだよ」

「『KOTATSU』?ふうん……ねえ、コレ、どこに火をつけるの?」

「おいおい、火なんかつけたら燃えちまうだろ。これはこうやって使うんだ」


虎鉄が手に握っていたスイッチを入れると、コタツの中心に取り付けられたライトが赤く光り、その明かりは徐々に熱を帯びていった。

「あ、本当あったかい」

「な、暖かいだろ?そしてこの布団を上に被せて、上にこの板を乗せたら……ほい、コタツの完成だ!」

「へえ…………って、蓋しちゃったら暖かくならないんじゃない?」

「チッチッチ、ここからが日本文化の醍醐味なんだよ。ブルーローズ、ちょっとこっちに来て俺みたいに座ってみろよ」

「え?あ、あんたと一緒にこの中に?し、仕方ないわね……」


カリーナは腰を下ろすと、虎鉄同様コタツ布団の中に足を伸ばして座った。


「…………いや、座れとは言ったけど……隣ってコタツの幅的に狭くないか?」

「な、なによ、あんたが座れって言うから座ったんじゃない」

「あー、ま、いいか。そうそう、コタツはこうやって足全体を暖めて使うんだよ。そしたら、体全体もジワジワ〜っと暖かくなってくるだろ?日本じゃ、こうやって家族が肩寄せ合って暖を取るんだ。
……て、ブルーローズ、お前真っ赤だぞ?暑くなるの早過ぎじゃないか?」

「!き、気のせいでしょ!コタツが赤いから赤く見えるだけじゃない?
…………別にタイガーが近すぎからって訳じゃ……」

「ん?最後何か言ったか?」

「なんでもない!って、タイガー、あ、あんたの足がコタツの中で私の足に当たってる」

「そりゃコタツだから当たるもんだ。つーか、やっぱり狭すぎるだろコレは。俺出るからお前はもう少しあたっていけよ」

「出なくていい!!」

「うん?」

「あ……さっき自分で言ってたじゃない。肩寄せ合って暖を取るのがコタツだって
それに私…………」


コタツを出ようとした虎鉄の腕をカリーナが引き止め、何か告げようか思い悩んでいた時、休憩室の入口が開き、馴染みの顔が入って来た。


「やあ!おはよう、タイガー君にブルーローズ君!これは一体何をしているんだい?
それに皆も――」

「スカイハイってば!あーあーーおっはよー!タイガーにブルーローズ!
わぁー楽しそう!僕も入れてよ!」

「ちょっと声出しすぎよドラゴンキッド。あら何よコレあんた達何してんのよ」

「お、俺は知ってるぜコレ。確か『コタツ』って言うんだよな。な、折紙?」

「わ、わー。これがこたつでござるか拙者初めて見れて感激でござる折角なので入ってみてもいいでござるか?バーナビーさんも一緒に入りましょう」

「ふぅ……あまりスマートじゃないですが、僕もそこまで野暮じゃないですしね。
虎鉄さん、そこちょっと詰めて下さい」

「おいおいおい、みんな一気に来たな。このコタツ4人家族用だぞ?入りきれるのか?
おっとすまないなブルーローズ、キツくねーか?」

「…………ぜ、全然!キツくない大丈夫!」

「ならいいが……なんだかんだでみんな入ったみたいだな。
じゃ揃った所だし

今年もいっちよ、ワイルドに吠えるか!!」




END






【蛇足のようなその後】に続く

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