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□髪
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「なあ、ナミ」
「今度は何?」
「お前の髪さ、そんだけ長いなら武器になんねェかな」
「はあ?!」


…………っとにもー。
何を言いだすのか思えば。


「もっと長く伸ばして巻きついたり」
「ならないわよ」
「おれみたいにゴムゴムのー」
「ならないわよ」


目をキラキラ輝かせてシシシシと笑う姿は、2年前世界を騒がせた男には到底見えない。


「でも童話にそんな長い髪の話があったわね」
「ゴムゴムの髪か!」
「違う!」


『ラプンツェルって女の子が魔女によって高い塔に閉じ込められてしまう話よ

出入口は塔の窓しかなくて、魔女が「ラプンツェルラプンツェル、その長い見事な髪を下ろしておくれ」って言うと、ラプンツェルは自分の長い長い髪を窓から垂らし、魔女はそれをはしご代わりに使って塔に入っていたの

そんな事を繰り返してラプンツェルが大人になる位の年月が経ったある日、1人の王子がその様子を見つけてしまい、魔女の真似をした王子は塔に入ってラプンツェルと出会い、そして二人は恋に落ちたわけ

その後王子は、魔女の隙を見ては何度もラプンツェルの髪を登って会いに行くの』


「ふーん。でもそれって変じゃねェか?」
「変って?」
「下に届くくれェ長い髪なんだろ?だったら、自分の髪使ってさっさと降りりゃいいだろ」
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