スパアン小説

□冗談だってわかってるのに
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「アンジュ〜、軽くごっつかせげる依頼ない〜?」

イリアはスパーダ君と現れた。

「だめよ、そんな罰当たりな事言っちゃ…ここは利益目的じゃないんですからね!あくまで人助けだよ?」

「おいおい、よく言えんなあんた…」

スパーダ君は呆れたように言うけれど、それって私が胡散臭いみたいじゃない。

「スパーダ君…それ、どういう意味かな〜?」

「だから、アンタのそういう所が、だな…」

「いーよスパーダどうせアンジュ様は清らかで心やっさすぃ聖女様よ!あたし達とは何もかもが違うんだって!」

「…何もかも、か。…そうだな」

「なぁに?その言いようは、二人とも酷いな〜」

でも、何もかもか。
なんでかわからないけどスパーダ君に認められると腹ただしいような落ち着かないような…

「んじゃいーわ今日のところは!帰るよ〜」

「つか、もうすぐデザートの時間じゃね?」

「おっ今日はなんだっけー?」

「たしか…おいしおいしなんちゃらって」

そんなおいしそうな話をしながら二人は行ってしまった。
でもよくわからないけど、胸に残る何かがあって、私は戸惑った。

「アンジュ、どうかしたの?」

「クレア!」

私が何かに悩んでいるとクレアが声をかけてくれた。
食堂へ向かう途中だったらしいけど…私自身、一人が心細い状態だったからクレアが来た時顔に出ちゃったみたいで。

「何かあったの?とてもボーっとしていたけれど…私でよかったら聞くわよ?」

「…私って、皆と違うのかなって」

「え?」

「さっきね、イリアが私が聖女だから私たちとは何もかもが違うって言って、スパーダ君もそうだなって…やっぱり違うのかなって思って」

「でも、イリアは何かと冗談を言う子よね?今回のも本心で思ってるわけじゃないと思うんだけど…」

「…そうかも。でも何故か孤独になった気分になっちゃって。わからないけど、私達と違うって言われて悲しくなっちゃって」

「アンジュはスパーダ君にも同意されたことが悲しいの?」

「え?」

スパーダ君にも同意されたこと…?

「…確かにイリアがスパーダ君に振るまではいつもどおり流してたけど…そうだとしても、根拠がないんだもん」

「根拠かぁ…スパーダ君も冗談とか言うタイプじゃなかった?」

「…そうだね、いつも冗談ばかり。変な事ばっかり言ってるし…私にだってそう。呆れちゃうよね」

「そっか…なら、気にすることはないはずよね?二人とも冗談を普段からいってるんだし、アンジュなんて二人と付き合い長いからそのくらいわかってるし…なんでかしら…」

「クレア、一緒に悩んでくれてありがとう。私はもう大丈夫だよ。」

本当はつっかかるものがあったけど、私の事なんだから他の人には更にわかる筈が無い。

「アンジュ、ごめんなさい力になれなくて…」

「全然!むしろ今は一人で寂しかったからこうやって一緒に悩んでくれる人がいただけで私は凄く嬉しいよ」

「そっか…それならよかった。この後、ロックス達とデザートを作るから、アンジュも良かったらきてね?」

あ…デザートかぁ…複雑だな…
でも…今日くらいいいよね。美味しいもの食べて、元気にならなきゃ。

「わかった…本当にありがとう!」

クレアはにっこり笑うと食堂の方へ行ってしまった。
さ…て、私はどうしたものかな。
一通り依頼を整頓してから…

「アンジュ」

「?!」

驚いて声のするほうを向いたらさっきまでイリアと向こうへ行ってしまったスパーダ君がいた。

「いや、ちょっとさ、訂正があって…さすがにほらなんつーの?あれだよ」

スパーダ君は何か言っていたけど私は彼が戻って来てくれた事にかなり驚いてて暫く放心状態だった。

「…ってこと。まぁ、いうまでもないよな」

「…………え?」

「あ?もしかしてあんた聞いてなかった…?」

「ごめんなさい、ちょっとボーっとしちゃって…」

「………やっぱあんた今回まじでダメージでかくね?」

やっぱ…って、わかってたのかしら?
というより、私はダメージを受けてるの?
なんで?どうして?

「だからさぁ、さっきやっぱ言い過ぎたって事!俺もイリアもあんたが聖女ってだけで何もかも違うなんて心から思ってねーって!」

「!!…スパーダ君?あ、ありがとう」

「え?あ、あぁ。…今日、あんた変。疲れてんなら休めよ?」

変なのはスパーダ君もだよ!
言った冗談謝りにきたなんて。

「スパーダ君もね」

「は?なんで俺」

「ふふ、いいからいいから!あ、そろそろデザートでるんじゃない?食堂言っておいでよ!」

「あ?あぁ」

スパーダ君は不思議そうにしながら向こうへ歩いていった。

私のほうはというとさっきまであんな気持ちだったのが嘘みたいにもどってて。
結局最後までよくわからなかったけど、その後食堂で美味しいデザートを食べている最中もスパーダ君の事考えてた。

どうあれ幸せだって思えたから、それでいいかなって。

でも次は…自分で自分の本当気持ちに気付けたらいいな。
今は無理でもね。



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