Digimon.

大切なことば
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俺は隣の席の女の子に惚れている。


名前は高橋絵里。


小学校の頃からずっとこの子に片思いをしていた。


だけど、一度俺は絵里を傷つけてしまった。



あの傷ついた顔は今でも忘れられない。

だから俺は告白する勇気なんてない。







「おいヤマト、早く歌う準備しろよ」



「わかってる……」



なんか今日は喉の調子が悪い。
キリキリするというか、引っかかっていてかすれてしまう。



「んーーああ、ああ……」


(まぁよくあることだし、平気かな…?)





「ヤマト、練習すんぞ!」



「おう…!」



マイクを握り第一声を出そうとした。



「……ーっ…」



なぜか、声が思い通りに出ない。


「ヤマト?どうしたんだよ」



「…っ……あ…っ」



(どうしちゃったんだよ俺……)





「急性声帯炎ですね、しばらくは安静にしててください」


病院の先生にそう告げられ、俯いてしまう。


(最悪だな……ライブとかないからまだいいけど、生活に支障が出そうだな)




そう思った翌日の授業、さっそく事情を知らない先生が俺を当ててきた。



「どうした?石田ー」



(嘘だろ、なんで誰も言ってくんないだよ)


自分が惨めに思えてきてとても悲しくなる。




『あ、あの先生!ヤマト声出なくって……私が読みます!』




助けてくれたのは隣の女の子。


ああ、なんで君はこんなにも俺をドキドキさせてしまうんだろう。







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