Digimon.

涙と共に
1ページ/1ページ






月曜の朝は、とてもウキウキする。



だって好きな人に会える始まりの日だから。






「太一っおはよ〜」



愛しいあの人の背中を思いきり叩いて、
私なりの最高の笑顔で挨拶する。




『いってぇ!!お前っ……』



そう言って私の頭を叩く。
でも、痛くない。



太一なりの優しさなんだなって嬉しくなる。




「じゃあ、この間の数学のテストを返すぞ〜」


教室がざわめく。


「高橋っ」



「あ、はいっ」




…78点か。
よかった、平均的越えてた。





『うわっ、お前78点とかきもっ!!』



隣から太一が覗いてきた。





「はい??じゃあそういう太一は何点よっ!?」



『いやっ!!俺は…』



焦る太一をよそに、答案を奪う。



「にっ…29点!?」



『絵里〜俺、赤点になっちゃうよ』



「そんなの、あんたが勉強しないからでしょ??」



『だからさ、絵里が勉強教えてよっ』



…っそんな可愛い笑顔で言われたら、断れない。



てか、私より頭良い人たくさんいるよ??




私、自惚れちゃうよ??






他に誰もいない教室。





『ん〜っ疲れたー!!

絵里、教えてくれてサンキュ』




「えっ…うん…」




何時間経ったんだろう…、
ちょうど勉強会が終わった。




『なぁ、絵里って好きな奴いんの??』



「えっ…!!なんで…」




『なんか最近女らしくて可愛くなるし…なんとなく』



「ははっ何それ…」



そんなこと言われたら
本当に期待、してしまう。



『いるんだろ??言ってみろよっ』




歯を見せて笑うキミがあまりにもかっこよくて…、






「私っ…太一が好きなの」





思わず言ってしまった。







『え…俺、


お前とは友達関係だと…


ごめん、…好きな人いる』





フられた




悲しくて、嫌で、気づいたら太一に抱きついていた。




『ちょっ、おい…、絵里!!』




「お願い、もう少し…」



その瞬間、カタっと音が響いた。




『っ…!!』




ドアの方を見ると、女の子が立っていた。




「あのっ…見るつもりは…ごめんなさいっ!!」



と、頭を下げて言ってしまった。




『待てよ、空っ!!』





"空"




その人を追いかけていき、私は取り残されてしまった。



きっとその人は、太一の"好きな人"。
こんな所を見て勘違いさせたくなかったんだろう。

自然と涙が溢れてくる。




「うっ……っ」




前の物などがぼやけて、ポタポタと床に涙が落ちる。

「も…やだ、…ったい…ち…」





あれから、太一とは疎遠になってしまった。



話すことがなければ、目を合わせることもない。



私のこの恋は、終わってしまったんだ。




涙と共に




でも、大好きだよ、太一…







[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ