Digimon.

笑って
1ページ/1ページ


「一乗寺賢くんの笑った顔って見たことないよねー」




友達のそんな些細な一言で私は何でか、彼を笑わせてみたくなった。





「賢くんっおはよ〜」


「おはよ…ございます…」


「敬語なんて使わなくていいのに〜」

とりあえずフレンドリーにいつも毎日話しかけてる。


あれから結構会話できるようになったのに…
賢くんは相変わらずぎこちない感じだな。



「賢くんって好きな物とかないの??」


「いや…あんまり…」


「じゃっじゃあ笑顔になれるのとかないっ!?」


「特に…」


ぅー…
どうやったら笑ってくれるのかなぁー。





「あれ…絵里さん…??」


「へ…??」


えっ…賢くん顔近いよっ!!
急になになになになに!?




「まつげが目に入りそうですよ、」


賢くんはそう言ってほら、とまつげをみせてきた。

「ふぇっ…あり…がと…」


ふいうち…
心臓破裂しそう…


目が透き通ってて吸い込まれそうだった…。
男の子なのに髪の毛サラサラだなぁ…



…って私何考えちゃってるの!?ただまつげを取ってもらっただけで!!


これじゃ変態に近いじゃんっ!!


恥ずかしい恥ずかしい//






「フッ…フフ」


「あ…!!」

笑った!!
賢くんが笑った!!



「絵里さん、表情がコロコロ変わりすぎっ」

どうしよう、嬉しいっ!!
目を細めながら白い歯がチラッて見えて楽しそうに笑ってる!!



「わぁ〜!!」


「なっ何…??」


「笑った、笑った!!」

私が嬉しそうに笑うと賢くんは驚きながらも一緒に笑ってくれた。




私…この笑顔好き。
賢くんのこと…好きだ。


「絵里さんは僕を楽しませてくれる天才だ」


「えっ//」

びっくりしてどんどん顔が熱くなるのがわかった。


「絵里さん顔真っ赤…//」


「あっごめ…なさい//」


「えっと…//」


「…どうしたの????//」




「もぅ…一回…笑ってください//」


初めて見たばかりのこの笑顔をずっと見ていたい。






笑って
(絵里さんは僕をドキドキさせるのも天才だ…//)
(そしたら賢くんだってそうだよ…//)

 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ