Digimon.
□笑って
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「一乗寺賢くんの笑った顔って見たことないよねー」
友達のそんな些細な一言で私は何でか、彼を笑わせてみたくなった。
「賢くんっおはよ〜」
「おはよ…ございます…」
「敬語なんて使わなくていいのに〜」
とりあえずフレンドリーにいつも毎日話しかけてる。
あれから結構会話できるようになったのに…
賢くんは相変わらずぎこちない感じだな。
「賢くんって好きな物とかないの??」
「いや…あんまり…」
「じゃっじゃあ笑顔になれるのとかないっ!?」
「特に…」
ぅー…
どうやったら笑ってくれるのかなぁー。
「あれ…絵里さん…??」
「へ…??」
えっ…賢くん顔近いよっ!!
急になになになになに!?
「まつげが目に入りそうですよ、」
賢くんはそう言ってほら、とまつげをみせてきた。
「ふぇっ…あり…がと…」
ふいうち…
心臓破裂しそう…
目が透き通ってて吸い込まれそうだった…。
男の子なのに髪の毛サラサラだなぁ…
…って私何考えちゃってるの!?ただまつげを取ってもらっただけで!!
これじゃ変態に近いじゃんっ!!
恥ずかしい恥ずかしい//
「フッ…フフ」
「あ…!!」
笑った!!
賢くんが笑った!!
「絵里さん、表情がコロコロ変わりすぎっ」
どうしよう、嬉しいっ!!
目を細めながら白い歯がチラッて見えて楽しそうに笑ってる!!
「わぁ〜!!」
「なっ何…??」
「笑った、笑った!!」
私が嬉しそうに笑うと賢くんは驚きながらも一緒に笑ってくれた。
私…この笑顔好き。
賢くんのこと…好きだ。
「絵里さんは僕を楽しませてくれる天才だ」
「えっ//」
びっくりしてどんどん顔が熱くなるのがわかった。
「絵里さん顔真っ赤…//」
「あっごめ…なさい//」
「えっと…//」
「…どうしたの????//」
「もぅ…一回…笑ってください//」
初めて見たばかりのこの笑顔をずっと見ていたい。
笑って
(絵里さんは僕をドキドキさせるのも天才だ…//)
(そしたら賢くんだってそうだよ…//)