夜宵の本棚

□残煙
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レ「もぅ半年か、と…」

タークスのレノは、赤い髪を風に靡かせ、屋上で煙草を吹かしていた。

―――半年―――
そう、
カダージュが死んでから、もう半年がたつ…。

レ「早いのか…遅く感じるのか…
まったく、
これならメテオの再来と
変わらない被害だぞ、と」

レノは煙草の灰を落とし苦笑いをした。

半年がたち、なんとか神羅の会社も立ち直りつつあった。ルーファウスは寝込むし、ツォンは腑抜けになるし、まったく大変だった。

レ「一度だけ…だったのになぁ…」

ふぅ、と溜め息をつく。

レノは社員旅行に着いてきたカダージュを一度だけ抱いた事があった。
勿論ルーファウスにはこっぴどい仕返しをされたが…

レ「カダー…ジュ…、」

噛み締めるように名前を呼ぶ。煙と共に風が、レノの声を空に運ぶ。

一度だけ、だったが…鮮明に覚えている。
あの笑顔も、
ルーファウスには見せないだろう本音の泣き言も、全部が愛しかった。
いや、今も愛しい。

レ「なんでだろうな……
…なんで死んだりしたんだ」

忘れられない、あの気持ちが…守ってやりたいと思った。ルーファウスから、世界から、繋ぎを剥がしてしまいたいほど…。

もっと見たかった…
もっと笑って、
もっと泣いて、
もっと生きてほしかった…

レ「…らしくないんだけどな、と…」

自分らしくないと思い、また苦笑しながらも、浮かべた涙が零れぬ様に上を向いた……―

ふぅ、と煙を吐く。

レ「なぁ、もしかしたら…
また会えるかな…?」

ぽつりと空に呟いた。

(うん…あえるよ…レノ…)

レ「……!………
………そうか…
会える、か…(笑)」

カダージュの声が、聞こえた気がした。

晴れた空…鳥が飛ぶ…。

レ「それじゃあ俺は、
ここでずっっーと、
待ってるぞ、と(笑)」

優しく微笑むと煙草を踏み消し、屋上の扉に手を掛けた。

屋上には残煙が、
言葉を降らせた風と共に
静かに空に舞っていた…


fin***

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