チョコラテLOVE
□約束だよっ!
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好きだよって毎回毎回会うたびに、イヤっていうほどしっかり伝えてる。
なのに、どうして何で一体全体、彼からの「好き」を聞くことが出来ないのだろう。
足りないものは、何?
「ルイス、だーい好き。昨日も今日も明日もずっと大好きだよ!」
ぎゅっと抱きつく腕に力を込めてもルイスの反応は鈍い。
背後から抱きしめているので当然背中には豊満な胸が当たっているはず。それなのに動揺する素振りすらない。
立ち止まることもなく歩いていく。
「うん」
非常につまらない返事だ。
好きだ、好きだと簡単に口にしているように見えるけれど、いつルイスから「俺もセシェンのこと好きなんだ・・・」と言われてもいいように気持ちの準備万端でドキドキしてるのに。
肩透かしばっかり。前に「あたしのこと好き?」と聞いてみたけど反応は微妙だった。
だから今日は聞かない。
そのかわり。
「騎士の仕事はどう?」
「まだ入ったばっかだし、よくわかんないよ。それに騎士っていっても雑用だし」
この春、めでたくルイスは騎士の試験に合格した。
ただし最下位で。
学科は良かったらしいんだけど実技のときにイザコザに巻き込まれて試験を受けられなかったらしい。
本来なら「また来年」になるところをなんとかしてもらったみたい。くわしくは知らないけど。
しかしそのせいで最下位扱い。
念願の騎士になれたのにあまり嬉しくなさそう。
「大丈夫。ルイスが賢くて強いのはあたしが知ってるから! 頑張ってたらきっと認められる日が来るよ。それに雑用だって大事な仕事だよ!」
「うん、分かってるよ」
とは答えてくれるものの元気がない。
ぎゅうぎゅう抱きしめてもなんだか無反応。
春を代表する花が咲き誇る並木道を二人で歩いているのに。汗ばむくらいのぽかぽか陽気だっていうのに。
「駄目だよ。そんなに暗くなってたら可愛いルイスの顔が台無しだよ!」
「可愛くなくていい」
余計不機嫌になった。
くりっとした愛らしい黒い瞳。ぽてっとした水々しい唇。思わずチューしたくなっちゃうくらいの。んでもって、んでもってちょっとだけくせっ毛の髪。
女の子のように愛らしい。むしろ本物の女の子が裸足で逃げ出すくらい可愛いのではないかと思う。
本人はイヤみたいだけど。
その上、身長があたしと同じくらいしかない。目線の高さもぴったり。
前はよく一緒にいるあたしを差し置いて男にナンパされるなんてこともあったんだよねー。
ここ最近は幼さはあるものの、前よりは男の子っぽくなったのではないかと思う。
もっと小さい頃はあたしの後ろを金魚のフンみたいにくっついていたのにさー。
ちなみにルイスはあたしより二つ年下。いわゆる幼馴染ってやつだ。家は隣じゃないけどね。