紅色の大空

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魔界の将来を脅かす人間の魂を抜く、という課題を切り上げて与えられた次の課題。
“ボンゴレ十代目の心を開け” これを片付けるため、俺と一茶は並盛に来ていた。





「これは酷いな……。」
一茶がそう呟いたのも無理はない。俺逹はある教室に来ていた。整然と並べられているはずの机はなぎ倒され、中には脚が曲がっているものもある。そんな荒廃した教室の隅に一人の人間が座り込んでいた。
項垂れるように座っているそいつの表情は見えないが、綺麗な薄色の髪が所々紅く染まっていることから酷い目にあっていることがわかる。
「だれ…。」
そいつが顔を上げた。
「―――っ!!」
端整な顔に走る無数の傷痕。髪と同じ薄色の瞳は恐怖と絶望に染まっている。
これが人間の虐め……。
あまりの酷さに感動すら覚えた。
悪魔の俺が感動するなんてよっぽどだぞ…←
「なにお前、虐められてんの?」
人間として終わりそうなそいつに他にかける言葉が見つからなかった。
「おい……!ジロー、それは………!」
一茶が俺の言葉を批難してくるが無視する。
狼男である一茶と悪魔である俺では得意とする状況(シチュエーション)が違う。
今は――――
俺の領域。
俺はかがんでそいつと顔を合わせた。
「虐め…られてんだろ?」人間なんて所詮脆弱な生き物だから――――――
「誰に、やられたんだ?」「――――ッ!……誰も…信じてくれないんだ……獄寺君も山本もリボーンも雲雀さんもだれも………!みんなあの子に騙されてるのに気づかないんだ……………!俺は何もしてないのに…!俺は俺は俺は俺は………!!」
少し踏み込むだけで簡単に壊れる。
脆く儚いココロ
壊すのなんてあっというま。なのに治すにはとてつもない時間がかかる。
―――やってやろうじゃないか。
俺は必ずこいつの心を開いてやる。
「俺は『さくら紅次郎』だ。こいつは白銀の一茶。別名シロだ。」
「えっ?!ちょ、ジローひどくね?!」
一茶が必死に手を振って弁解を始める。
「俺、一茶だからね!一茶だよ!」
「一茶君………。」
そいつが小さく呟くと一茶はホッと息をついた。
「さくら君……一茶君……。」
「で?お前はなんていうんだ?」
「俺は…沢田綱吉……。」そして初めてそいつの顔に笑みがうかんだ。





『見損ないました。十代目。』
『こんなことする奴とは思わなかったのな。』
『君って奴は最低だね。』『クフフ…一度輪廻を廻ってはどうですか。』
『極限お前には失望したぞ!』
『ツナ君酷い……。』
『ツナさんサイテーです!』


浴びせられる罵倒。

止まない暴力。

それらを行うのは過去の友達。

地獄のような日々。

俺をそんな日々から救ってくれたのは、

突然現れた



新しい仲間

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