歪んだ愛に溺れて

□心は泣いていた
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「新羅ー!」

「オグェッ!?」

玄関のドアを開けた新羅に抱きつくと、蛙が潰れたような声がした。なんとかバランスを立て直した新羅が、ずれた眼鏡を元に戻して私のことを確認する。

「なんだ、名前ちゃんか……」

「なんだなんて酷いなあ。折角会いにきたのに」

「ウガガガガ!肋骨!肋骨が!」

腕に力を入れると、新羅の口から悲鳴らしからぬ悲鳴が飛び出した。おもしろいから続けていると、前方からガタリと物音がした。
顔を上げると、壁に背をつけわなわなと震えているセルティがいた。

成程。どうやら嫉妬しているらしい。

「ああ、やっと二人はゴールインしたらしいね。おめでとう新羅」

「この状況で!?まあいいから、とにかく離してよ!」

「しょうがないなあ」

新羅から離れ、下に置いていた荷物を持った。
力尽きて座り込んでしまった新羅を避けて中に入り、セルティに近づく。

「もしかして嫉妬して――」

『名前!』

言い終わる前に、今度は私がセルティに抱きつかれた。
背後から新羅の雄叫びが響いたが、セルティは私に抱きついたままPDAを見せた。

『お前今までどこにいたんだ!?1ヶ月も姿が見えなかったから心配してたんだぞ!?』

「あれ、言ってなかったっけ?イタリアに行ってたんだけど」

『聞いてない!宇宙人に拐われたんじゃないかと思って私は夜も寝られなかったんだ!』

「それはないよセルティ……」

宇宙人に拐われたというセルティらしい発想に笑いながら、安心させるように背中を叩いた。



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