夜に綴る物語

□親子なんて嫌でも似るもんだ
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「そうですか……アイツが……」

逃げ場を失った私は、正直に今までのことを話した。
苦々しい表情で聞いていた星海坊主が、小さく呟く。

「まさかアイツがね……」

どうやらまだ受け止めきれていないようで、星海坊主は遠い目をしている。

「色恋沙汰とはめっきり縁がない奴だと思っていたが、婚約までしちまうとはな」

「それよりも、アイツがあの指輪を持っていたことの方が驚きアル」

「ハハ……ボロクソ言われてますね、神威……」

――まあ、それだけの事を今までしてきたんだろうけど。

星海坊主は膝に手を置き、私を見つめてきた。

「何か御迷惑はかけていませんか?昔から戦闘のことばかりで、常識というものが欠けていまして……」

「迷惑なんてないです」

はっきりと答えると、星海坊主は目を少し見開いた。
銀さんまでもが、驚いた顔をしている。

「寧ろ、私が迷惑かけてばかりなんです。確かに神威は常識が欠けてるし、空気読めないし、闘うことと食べることしか頭にありません。でも、命懸けで私を助けてくれました」

「え、なんだよそれ。俺らそんな話聞いてねぇんだけど。初耳なんだけど」

「うん、初めて言った」

「ハァ!?」

帰ってきた日に報告しようとしたのに、現実逃避の為逃げ出した銀さんが悪い。
話に割り込んできた銀さんの頭を押し返し、再び星海坊主と向かい合う。

「私の両親は、昔春雨と敵対していた宇宙海賊の幹部だったそうです。それを知られてしまい、神威は私を殺すよう命令されました。だけど、死刑になると分かっていても、神威は命令に背いて私を助けてくれたんです」

「そうだったんですか……」

「アイツ、名前のことになると性格変わるネ」

呆れたような、だけど嬉しそうな笑みを、神楽が浮かべた。

「名前だからこそ、できたことアル。女を見る目だけは認めるネ」

何があっても、血の繋がりだけは断つことができない。口ではいくら悪く言っていても、やはり完璧に嫌うことなんてできないのだ。

「恋をすると人は変わるんだぜ、親父さん」

神楽の言葉を後押しするように、銀さんがそう言った。

「実際、俺もアイツの変化をこの目で見た。気持ち悪ィくらい名前を見る目が優しくてよ、宇宙に連れていくって言われて、つい頷いちまった。こう言ったら認めたみたいで癪に障るんだが、結構お似合いだと思うぜ」

「銀さん……」

銀さんがそんな風に思っているなんて、全然知らなかった。
感動していると、俺はまだ認めてねぇからな!と、銀さんが付け足した。

「……名字さん」

不意に名前を呼ばれ、銀さんから星海坊主に視線を移す。

「少し、外で話をしてもいいでしょうか……」


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