夜に綴る物語

□王道展開でもいいじゃない
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名前へ


やっほー!元気?ちなみに俺は元気だから。
やっと代理が見つかって、第7師団の船に戻ったんだ。やっぱり住み慣れた場所はいいね。
それはいいんだけど、名前がいないと部屋が広すぎて落ち着かない。今更だけど、ベッド大きすぎない?一人で寝るの、かなり寂しいんだけど。
でも名前の匂いがするので、変える気はありません。
あ、安心してね。別に名前の枕使ってあんなことやこんなことしてるわけじゃないから。

気がついたら名前が帰ってから2ヶ月も経ってた。
正直一日中名前のこと考えてむらむらしてます。男って大変だよね。

ってことで、久しぶりに地球に行くから!
ご飯作っといてね。
あと、次の日は休み取っといた方がいいよ。

神威






相変わらず字汚いなー、と思いながら、月明かりと枕元の灯りを便りに手紙を二度読み返す。

「……で、なんで今渡すの?」

「え?」

うつ伏せになって布団から顔を出し、薄明かりの中枝毛チェックをしている神威の方に顔を向ける。
一枚しかない布団に二人で寝ているので、至近距離で青い瞳と目が合った。

「え?じゃないよ。もう来てるじゃん。普通来る前に送るでしょ。なんで今出してきたのよ」

仕事が終わって帰宅した直後に現れた神威。再会を喜ぶ暇もなく押し倒され、今に至る。
ようやく終わったと寝ようとしたところ、思い出したようにこの手紙を渡されたのだ。

神威は少し考えた後、しょうがないとでも言いたげに肩をすくめた。

「俺もそうするつもりだったんだけどネ。出す直前になって、住所知らないことに気付いたんだ」

「えー……それなら渡さなかったら良かったのに。ていうか、私の枕に何したの?すっごい嫌な予感がするんだけど」

「……なにもしてないって」

「目逸らしてるじゃん。確実に何かしたでしょ」

うー、と唸りながら、枕に顔を埋める神威。
乱れている三編みに気付いて手を延ばして解くと、鮮やかな髪が白い布団の上に広がった。

「まあ、いいや。もう寝るよ」

枕元のランプのスイッチを切ると、部屋は青白い光に包まれた。
クーラーのタイマーを確認して、布団に潜り込む。

「明日仕事は?」

寝返りを打って向かい合うと、神威の腕が頭の下に滑りこんできた。

「幸運なことに、明日はもとからオフです」

「よかった」

「でも、出かけたいとこあるんだけど」

「大丈夫、時間ギリギリまで一緒に居るから。あ、朝御飯作ってネ」

「分かってるよー」

髪を撫でられる感覚が心地好くて、目を閉じるとすぐに眠気が襲ってきた。

「おやすみ、名前」


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