夜に綴る物語
□03
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無事真撰組に入隊した名前には、副長補佐という役職が与えられた。
「というわけで、よろしく、沖田君」
「……」
「あれ?無視?」
「……」
「あ、もしかして私が勝ったから拗ねてる?」
「……違ェ」
「いや、確実に拗ねてるだろ」
アイマスクをして昼寝をしていた総悟は、名前に背を向けるように寝返りをうった。
それを見て、名前が頬を緩ませる。
「沖田君は強いよ。自信持っていいと思うよ」
「うるせェ。アンタに言われても嬉しくねェ」
「……昨日は優しかったのに」
女に呆気なく負けたという事実に、総悟は子供のように拗ねていた。それをおもしろがってのことか、名前は総悟にちょっかいをかけ続ける。
「沖田君何歳?まだ若いのに隊長なんて偉いね」
「……」
「彼女はいるの?って言っても、忙しくってそんな暇ないか」
「……」
「ねえ、首痛くない?膝枕してあげようか?」
「触んな」
頭を撫でた名前の手を、総悟が払った。
アイマスクを外して立ち上がり、そのまま名前に背を向ける。
「どこ行くの?」
「うるせェ」
一言だけ返し、総悟は足早に立ち去った。その後ろ姿を見て、ふふふと名前が笑う。
すると名前の後ろの戸が開き、中から土方が出てきた。
土方は呆れたように溜息をつきながら、総悟が消えた方向に視線を向ける。
「あんま怒らせんなよ。こっちに迷惑がかかるだろうが」
「だってかわいいんですもん。私末っ子なんで、下が欲しかったんですよ」
「なら怒らせんなって」
「私は怒らせるつもりなんてありませんよ。かわいがってるんです」
楽しそうに話す名前に、また溜息をつく土方。
「お前、総悟以上のサドかもな」
「はい?」
「いや、なんでもねえ。それより、早く手伝え」
「はーい」
名前は一度背伸びをして、土方に続いて副長室に入った。
「あ、言うの忘れてたが、制服届いたらそれ着ろよ」
「え、その服私も着るんですか?」
「ちゃんと女物用意した」
「おお!土方さん大好きです!」
「はァ!?」
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